韓国の情報戦に対抗せよ 面積7倍に拡充される領土・主権展示館

【安倍政権考】

 日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)や竹島(島根県隠岐の島町)などの資料を集めた政府の「領土・主権展示館」(東京・日比谷公園)が岐路に立っている。竹島を不法占拠する韓国が情報戦を進めて一定の成果を上げるなど、日本を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。展示館は懸案の移転先が決まり、面積も従来の7倍に拡充されるが、専門家は、領土や主権の広報戦略について、調査・研究から発信までを一元的に担う拠点作りが不可欠と警鐘を鳴らす。

■中韓が活発に行動

 「領土・主権をめぐる問題の解決は極めて重要な課題だ。政府が全力で取り組むにあたっては、わが国の立場に関し、今後、より効果的に国内啓発、対外発信を行うことが必要だ」

 宮腰光寛領土問題担当相は5月21日の「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」でこう述べ、より戦略的な対応が必要になるとの認識を示した。

 背景には中韓両国の動きがある。直前の同月13日には、韓国が遅くとも2016年から竹島周辺の日本領海で無人観測装置「海上ドローン」による海洋調査計画を本格化させ、データ収集などを継続していたことを産経新聞が報じた。

 中国は4月12日以降、尖閣諸島周辺で公船を航行させる挑発行為を続ける。6月5日には55日連続となり、平成24年9月の尖閣諸島国有化後、最長の連続日数を更新した。

 懇談会ではこうした情勢を踏まえ、座長を務める財団法人「平和・安全保障研究所」の西原正(まさし)理事長を含む外交・安全保障、国際法、歴史研究などの専門家13人が、領土と主権に関する発信強化策を議論する。7月をめどに提言を取りまとめ、宮腰氏に提出する予定だ。

 宮腰氏は懇談会で(1)領土・主権展示館の開館を含めた、これまでの啓発・発信事業の実績評価(2)小中学校での領土教育の充実や国際情勢の変化を受けた施策の新たな方向性の検討(3)領土・主権展示館の活用方法の検討-の3点を要請した。

 なかでも(3)の領土・主権展示館の活用は、懇談会のメインテーマといえる。

■好条件の移転先

 領土・主権展示館は、政府が平成30年1月に開設したが、入居先の市政会館が耐震工事を行うため、来年3月までの移転を迫られた。

 最終的に移転先に決まった「虎の門三井ビルディング」(千代田区霞が関)では、同館の面積は従来の7倍の約700平方メートルに拡充される。市政会館では案内を出せず場所が分かりにくかったが、新しいビルは1階に入居して通行人の目を引きやすい。さらに、永田町から徒歩圏内という立地を生かし、国会見学と連動させた訪問も見込むことができる。

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