介護の一歩手前「フレイル」防ごう 都内自治体で取り組み広がる

 高齢者の体力が衰えて介護が必要になる手前の状態「フレイル」に関連した取り組みが、東京都内の各自治体で広がっている。豊島区では、最新の運動機能測定機器を導入するなどしたフレイル対策の拠点施設を今月にオープン。板橋区では、フレイルについて解説できるボランティアの養成講座を実施する。健康寿命の延伸だけでなく、高齢者の活躍の場の拡大も期待できそうだ。

 「適切に対応すれば、また健康な時期に戻ることができます」

 豊島区で10日に開設された「東池袋フレイル対策センター」で17日に行われたイベントでは、区職員がフレイルについて説明したり、さまざまな測定機器を使って健康状態をチェックしたりした。参加した区民7人は、真剣な表情でアドバイスに耳を傾けた。

 高齢者施設を改修して誕生したこのセンターは、延べ床面積約290平方メートル。若者の自立支援などを手掛けるNPO法人「ワーカーズコープ」が区に委託されて運営している。

 瞬発力やバランス能力などを計測できる最新機器を導入したほか、高齢者の交流スペースとしてコーヒーや軽食を提供するカフェが設けられている。健康や生活に関する相談も受け付けており、一日20人程度の近隣住民が利用しているという。

 母親と一緒にイベントに参加した坂井牧子さん(71)は「気軽に運動機能を測定できてありがたい。母と2人暮らしで動けなくなると困る。こうしたイベントがあったら積極的に参加したい」。ワーカーズコープ東京事業本部の北川裕士(ひろし)さんは、今後の運営に向け「住民同士が交流し、フレイルについて互いに意識しあえるような場所にしていきたい」と話した。

 一方、板橋区では、区内各地で開くフレイルチェックのイベントの運営を担う「フレイルサポーター」を養成する講座を今年度から実施する。フレイルの解説の仕方や、使用する測定機器の操作方法などを伝授する内容だ。

 サポーターをシニア世代が担うことも想定しており、住み慣れた街で新たに社会参加できる場を生み出す効果が期待されている。養成講座は3日間の日程で6月19、20日、7月2日に行われる予定。定員20人に対し応募はすでに70人を超えているという。

 区長寿社会推進課の担当者は「社会参加によってサポーター自身のフレイル予防にもつながる。定年で仕事から離れたり、外で活動してみたい人はぜひ応募してほしい」と呼び掛けている。(松崎翼)

 ■フレイル 日本老年医学会が平成26年に、英語の「Frailty(虚弱、衰弱)」の日本語訳として提唱。予防啓発に取り組んでいる。厚生労働省は「加齢とともに、心身の活力(筋力や認知機能など)が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態」と定義。身体的問題だけでなく、鬱などの精神・心理的な問題、独居や経済的な困窮など社会的な問題も含む概念。予防には、運動、栄養、社会参加の3つの柱が重要とされる。

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