トランプ氏、拉致で「顕著な進展ない」と金正恩氏追及

 ベトナムのハノイで2月下旬に行われた2回目の米朝首脳会談の席上、米国のトランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、拉致問題への取り組みについて「顕著な進展を見せていない」と迫り、金委員長が言い逃れを繰り返すなど緊迫した場面があったことが16日、分かった。米側は「拉致」を核・生物・化学兵器放棄と同水準の問題と位置づけ、厳しく対応を求めたという。

 トランプ政権高官が日本側関係者に明らかにした。

 金氏は、日朝間の課題として「拉致問題」があるとの認識を示し、安倍晋三首相と「会う用意がある」と表明したが、米側の妥協しない姿勢が金氏の態度変化を引き出したとみられる。

 米高官によると、会談初日の2月27日、拉致問題を切り出したトランプ氏に対し金氏は話をそらし続けたという。初日の会談後、部内の検討会でトランプ氏は金氏が終始、拉致の話題から逃げたことに触れ、「これでは(中身のある回答を約束した)安倍首相に伝えることがない」との認識を示し、米側は2日目も拉致問題への対応を強く求める方針を確認した。

 米側は28日の会談で、金氏に(1)核・生物・化学兵器と弾道ミサイルの完全放棄(2)深刻な人権問題の解決-の2点を実行する代わりに「経済的繁栄」が得られる「ビッグディール」案を提示。この際、拉致問題を「人権」領域の中核的課題に据えて譲らず、金氏は「拉致」をめぐる「実質的な討議」(米高官)に追い込まれる形に至ったとみられる。

 会談同席者は金氏の様子を「これ以上、拉致問題を回避するのは不可能だと感じたようだった」と受け止めたという。

 安倍首相は今月に入り、条件をつけずに金氏と会う意向を明らかにしたが、この背景には金氏が首脳会談に応じる場合、拉致問題で何らかの話し合いができるとの判断があるとみられる。

 北朝鮮による拉致問題をめぐっては今月14日、ジュネーブでの国連人権理事会の作業部会が日本人を含む外国人被害者の即時帰還など、具体的な行動を求める勧告を採択している。

 勧告は審査会合で出された88カ国・地域の意見を反映したものだが、北朝鮮側は解決済みとする従来の立場に固執。ジュネーブ国際機関代表部大使が作業部会演説で勧告拒否を宣言するなど、強硬な姿勢を見せている。

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