気の毒に思う「令和」ヘイトな人々 あきれる発言…誕生しなくてよかった“石破総理”

 【有本香の以毒制毒】

 新元号が「令和(れいわ)」に決まって、きょう(4日)で3日がたった。通信社や全国紙の緊急世論調査では、いずれも国民の約7割が「新元号に好感を持っている」と答えたそうだ。あえて私見を述べると、素晴らしい元号だと思う。

 「れいわ」という音は馥郁(ふくいく=よい香りがただようさま)たる香気のようなものを感じさせ、字面からは清々しさが伝わる。

 史上初めて国書、しかも「万葉集」から採ったことも良かったと思う。とはいっても、実は事前には私は、伝統にならった漢籍典拠がよいのではと思っていたのだが、いざ決まって万葉集からと聞くと不思議と心が躍った。

 安倍晋三首相の記者会見での説明にもあったとおり、万葉集は1200年以上前に編纂(へんさん)された日本最古の和歌集である。その特筆すべき点は、天皇や貴族といった上流階級の人々だけでなく、防人や農民などの庶民の歌も多数収められていることだ。

 さらに、安倍首相は言わなかったが、この歌集には遊女など、当時の最下層の人々が詠んだ歌も収められている。

 「歌の前には皆平等」という、いわばリベラルな精神が、わが国では1200年以上も前に存在したのだ。万葉集こそ、わが先人の先進性の証であり、世界に誇ることのできる文化遺産だ。

 今回の元号制定は、天皇陛下のご譲位に伴うものであったため、異例づくしであったが、政府の発表の方法にも「異例」や「新しさ」が目立った。

 30年前、「平成」の元号発表の折、国民へのリアルタイム伝達の主役はテレビであったものが、今回はSNSに取って代わられた感がある。

 今回初めて、政府がツイッターやインスタグラムでの会見ライブ中継を許したため、発表の瞬間は多くの人がスマホの画面に見入っていた。これが功を奏したのか、私の周囲でも、若い世代が新元号に関心を寄せ、楽しむ姿が目立った。

 一方、このお祝いムードに水を差すネガティブな声も当然出ている。ほとんどが難癖の類と言っていいものだが、それらも3日でほぼ出そろった。

 一部野党やワイドショー論客らは、「令の字が『命令』の意を持つからよろしくない」だの、「安倍政権の目指す国民の規律や統制の強化がにじみ出ている」(社民党の又市征治党首)だのと、被害妄想のような批判を展開した。これはほぼ想定内のことだったが、同じことを自民党の石破茂元幹事長が口にしたのには、あきれ返った。

 「令和」に好感を抱く7割に属す一人として、つくづく昨年の総裁選で“石破総理”が誕生しなくてよかったと思っている。

 そして、一部の左派人士からは驚きの訴えが出された。「『天皇の時間』を生きることを強制する元号の使用により、世界史の中の連続する時間から切り離され苦痛を感じている。これは重大な人権侵害であり憲法違反」だとして裁判で争うそうだ。

 某ネット番組で、この訴えを起こした弁護士のお一人と議論する機会を得たが、その中身はここには書くまい。

 私は現在、さまざまなツールで世界とつながりながら、一方で日本人としての時間を生きている。元号によって切り離されて苦痛どころか、楽しさ倍増だ。そんな自分をつくづく幸せな人間だと思っているからである。

 有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(産経新聞出版)など多数。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ