「暗号資産」になった仮想通貨 先行利益のための日本の一手

 【安倍政権考】

 「次世代の通貨」と呼ばれた仮想通貨が、交換業者コインチェックの「NEM(ネム)」流出事件で信用を落とし、価格の低迷が長引いている。こうした中、政府は3月、仮想通貨の呼称を「暗号資産」に変更することを盛り込んだ金融商品取引法などの改正案を閣議決定した。6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議でテーマとなる見通しで、政府は規制強化と同時に技術革新も進め、ルール作りを主導する考えだ。

 「国際的な動向を踏まえて、いわゆる仮想通貨の呼称が世界では『暗号資産』という表現をしており、これに変更する」

 麻生太郎副総理兼財務相は3月15日の記者会見でこう表明した。

 政府は同日の閣議で、金融商品取引法や資金決済法の改正案を決定。仮想通貨の呼び方について、国際会議で暗号資産を意味する「クリプト・アセット」という呼称が使われていることや、通貨という表現が円やドルなど各国の中央銀行が発行する通貨との混同を招く恐れがあることを踏まえ、変更することにした。

 改正案ではこのほか、顧客の仮想通貨をインターネットから隔離した「コールドウォレット」で管理することを求めたり、風説の流布など不公正な取引を禁じる。

 政府が規制強化に乗り出す契機の一つとなったのが、コインチェックの流出事件だ。

 事件は平成30年1月に起きた。交換業者の職員のパソコンが不正アクセスを受け、約580億円相当のネムがわずかな時間で盗まれた。巨額の仮想通貨が奪われたことに加え、顧客資産をネットにつながった「ホットウォレット」で管理していたことなど、安全体制が問題視された。

 事件を受け、仮想通貨全体の信用は失墜した。当時、仮想通貨は、米国で先物取引が始まったことなどから買いが集中して価格が急上昇。29年末には、ビットコインの価格は1BTC=220万円を上回った。しかし、事件を機に投資家が離れ、現在ではピーク時の5分の1の40万円前後で推移している。

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