拉致被害者全員救出へ「決意信じる」 家族が首相と面会

 北朝鮮による拉致被害者家族が6日、安倍晋三首相と面会し、先月末の米朝首脳会談でトランプ米大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に繰り返し拉致解決を提起した経緯の報告や、被害者帰国に向けた日本の取り組みについて説明を受けた。安倍首相は金委員長との直接交渉で局面打開を図る意向を強調。家族は現状を最大・最後の好機と受け止めて期待する一方、たびたび欺かれてきた北朝鮮にさらにだまされないよう慎重な交渉を重ねて求めた。

 首相との面会後の記者会見で、横田めぐみさん(54)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(83)は「日本と北朝鮮の代表が真剣に話し合う状況が整ってきた」と期待した。

 米朝首脳会談後の安倍首相との電話会談で、トランプ大統領は昨年6月の会談に続き、金委員長に拉致解決を繰り返し提起し、安倍首相の考えを伝えたと説明した。

 家族会代表で田口八重子さん(63)=同(22)=の兄、飯塚繁雄さん(80)は「米朝会談では拉致問題の具体的な話は残念ながら出なかったが、線は切れていないと感じている。日本政府の解決に向けた態度もますます強くなっており、大いに期待している」と語った。

 米朝会談で、米国が北朝鮮に広範囲な非核化を要求し、譲歩しなかったことを評価する声も。めぐみさんの弟、拓也さん(50)は「家族の立場としては具体的な進展がなかったことは残念だったが、拉致が解決されないまま、いい加減な結論が導かれなかったことは良かった」とし、「(被害者5人が帰国した)平成14年の日朝首脳会談と同じ流れという見方もあるが、日本政府には、被害者全員の即時一括帰国がない限り、北朝鮮への制裁は緩めないという毅然(きぜん)とした態度を示してほしい」と希望を述べた。

 米朝首脳会談前には、トランプ大統領が制裁解除に踏み切ることが懸念され、「駆け引き上手の北朝鮮にまた翻弄されるのでは」と気をもんでいた家族は米国の厳しい姿勢に安堵(あんど)をにじませる。ただ、北朝鮮との首脳会談は具体化しておらず、飯塚さんは「何度もだまされてきたことを忘れず焦らずに急いでほしい」と複雑な心境を吐露する。

 「ここからが正念場。今日の面会で安倍首相の決意を感じた。信念を持って、拉致をすっきり解決していただきたい」。早紀江さんは祈るように語った。

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