長崎・諫早になお残る菅直人元首相の「負の遺産」がようやく払拭へ 和解へ動く安倍政権の本気度は?

 【政界徒然草】

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門をめぐる訴訟で、政府が和解に向けて本腰を入れ始めた。政府がかかわる訴訟は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設と同様、民主党政権下での政府対応のまずさが引き金になり地元住民の訴訟合戦に発展し、行き詰まったままだ。「政治は結果だ」(菅義偉官房長官)を信条とする安倍晋三政権は、民主党政権の“負の遺産”の解消に道筋をつけたい考えだ。

 「あの時、国が上告していればここまで問題がこじれ、長引くことはなかった」。諫早湾訴訟にかかわる政府関係者はこう憤る。

 約7キロの潮受け堤防を挟み、政府と有明海周辺の漁業者、営農者の対立が始まったのはおよそ20年前。平成9年に政府が潮受け堤防を閉門した後、12年に有明海のノリの大不作が発生した。そのため14年に漁業者が堤防の撤去と排水門の常時開放を求める訴えを佐賀地裁に起こした。

 一方、20年3月に干拓事業が完了し、翌4月から営農が本格始動すると、今度は営農者側が「開門すれば塩害など被害が発生する」として開門差し止めを求めて提訴。開門を求める漁業者と、開門を認めない政府、営農者それぞれが争う構図となった。

 現在、6つの訴訟が審理中で、政府は「開門」と「開門差し止め」という2つの真逆の司法判断を突き付けられ、開けても開けなくても制裁金を支払わなければならない前代未聞の事態に陥っている。

 問題が混迷を深めたきっかけは、諫早湾関連訴訟で唯一の確定判決となった平成22年12月の福岡高裁の判決だ。政府は裁判中に開門に伴う被害を十分に主張しなかったため、開門を命じる判決が出た。さらに、当時、民主党の菅直人首相が「私なりの知見」という科学的根拠もない独断で最高裁に上告せず、判決が確定してしまった。

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