日本にスパイ罪はない 「西新井事件」で工作員を逃した法の壁:イザ!

2013.12.16 12:34

日本にスパイ罪はない 「西新井事件」で工作員を逃した法の壁

 ◆「丸腰では戦えない」

 主犯は消えたが、捜査は続いた。警視庁は、会社を引き継いだ在日朝鮮人の男が「土台人」と呼ばれる補助工作員であることを突き止めた。男は深夜のラジオ放送で北朝鮮の指令を受けていた。だが、日本にスパイ罪はない。捜査員は苦心して会社の登記に虚偽の記載があることをみつけ、公正証書原本不実記載容疑で、チェがいない中、ようやく家宅捜索に踏み切れた。

 捜査に加わった元公安刑事が言う。「われわれに武器をくれといいたい。日本は各国機関の情報戦の舞台なんです。令状が取れない。だから外国人登録法違反や、公然わいせつ罪まで使ったこともある。はっきり言って、罪状の捏造(ねつぞう)ですよ。これでは戦えない」

 消えてしまったチェは蓮池薫さん(56)、祐木子さん(57)を拉致した実行犯の一人で、日本人拉致に深く関与していた。北朝鮮帰国後は被害者らと頻繁に会っていたことが、平成14年の小泉純一郎首相(当時)訪朝で帰国した被害者らの証言でようやく判明する。チェが国外移送目的略取容疑で国際手配されたのは、西新井事件の家宅捜索の21年後であった。

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