喜劇俳優・チャーリー浜さん 孤独死を怖がったシャイな寂しがり屋

【ドクター和のニッポン臨終図巻】

 コロナ変異株による第4波。僕のいる兵庫・尼崎も医療崩壊しています。重篤なコロナ肺炎症状があっても、保健所に電話がつながらない、病院も119番も受け入れ不能状態。僕たち在宅医療のスタッフがフォローするしかありません。しかし、そのキャパを越えて中等度以上の自宅療養者は増え続けています。

 コロナだけが原因ではないのですが、全国で孤独死をする人も増えています。コロナによって家族、親族、友人、会社や地域の人たち……様々な繋がりが断たれ、医療機関にかかる機会をも失ったまま自宅で亡くなるケースです。

 実はこの人も元気な頃から、自分が孤独死するのを大変怖がっていました。

 「…じゃあ~りませんか」が一世を風靡(ふうび)、1991年に流行語大賞まで受賞された吉本新喜劇の喜劇俳優、チャーリー浜さんが、4月18日に大阪市内の病院で亡くなりました。享年78。死因は誤嚥性肺炎との発表です。

 チャーリー浜さんとは、ある先輩医師が繋いでくださった御縁で、何度もゴルフや食事をご一緒したことがあります。もう10年以上前になりますが、スポーツ紙で、ED治療について対談をしたこともありました。

 ご自分でもネタにされていたようなので、ここに書くのも構わないと思いますが、浜さんは、僕の知る限り4回結婚されています。

 誤解している女性も多いかもしれませんが、3回以上結婚する男というのは、浮気を繰り返すいい加減なプレイボーイではなく(本当の遊び人はいちいち真面目に入籍しません)、独りになるのが怖い寂しがり屋なことが多いのです。浜さんも、モテ男ではありましたが、とてもシャイで寂しがり屋さんでした。

 僕がよくご一緒していた当時は一人暮らしだったようで、「長尾先生、僕が孤独死しそうになったら往診してくれへんか」とお願いされたこともありました。「まだまだお元気ですから、大丈夫ですよ」と笑って答えたのですが、最近お姿を見ていなかったので、どうされているのかと気になっていたのです。報道によれば浜さんは介護施設に入っており、今年3月に体調を崩して入院されたといいます。

 少し早い旅立ちではありますが、病院で亡くなったということは、孤独死ではないな、よかった…とほっと胸を撫でおろしました。浜さんのギャグは、どれも優しくて人を傷つけるようなネタは皆無。「君たちがいて、僕がいる」の浜さんの言葉を胸に、僕の患者さんを孤独死させないよう、今日も頑張ります!

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ