テナガエビが人工湖を掃除する 養殖で水質浄化に成果

 湖の水質改善と地元産品開発の“一石二鳥”の取り組みが、完成当時は世界第2位の規模だった人工湖(ダム湖を除く)で行われている。岡山県南部にある児島湖。水質悪化の原因となっているプランクトンを除去するため、唐揚げなどにするとおいしいテナガエビを増殖する水質浄化事業を行っている。事業開始から間もなく3年となる中、成果を上げつつあるようだ。(高田祐樹)

ワースト3の水質

 「一番魚が取れたのは昭和40年代かなあ」と話すのは、漁師歴40年超のベテラン、藤原芳員(よしかず)さん(71)=岡山市南区。目を落とす水面は薄い茶色に濁っている。

 児島湖は広さ約10・88平方キロ、総貯水量2607万トン。昭和34年2月、周辺の農地の水不足解消などを目的に児島湾を閉め切って完成した。だが、時代とともに問題となったのが湖の水質の悪化。湖は水が入れ替わりにくいため、水質悪化が進みやすい。汚染度を示すCOD(化学的酸素要求量)の値は昭和50年度、1リットルあたり12ミリグラムを記録し、全国ワースト3になった。

 汚濁の原因はプランクトン。川から流れ込む工場排水や生活排水には窒素やりんが多く含まれ、それらで育つプランクトンが増加して水が濁る。プランクトンが増えると水中の酸素量もそれだけ減少。水中酸素量が低下しすぎると魚が死んでしまうこともある。昭和46年に2045トンあった児島湖の漁獲量は、平成30年に280トンにまで低下している。

 そこで水質浄化に乗り出した岡山県。注目したのがプランクトンを捕食するテナガエビだ。食用としても需要があるテナガエビを増やすことでプランクトンも減少させる一石二鳥の効果を狙い平成30年6月、テナガエビが生息しやすいように、カキやホタテの貝殻で作った魚礁を児島湖に設置。ここでテナガエビの増殖を始めた。

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