【一聞百見】関西人の心をつかむ京納豆 藤原食品4代目代表・藤原和也さん

 関東と違い、納豆嫌いの人が多いといわれる関西でひそかに人気を集める納豆がある。「京納豆」。商品名から分かるように、意外にも京都産。京都と納豆といわれてもピンと来ないが、業界団体、全国納豆協同組合連合会(東京都、全国約110社加盟)が毎年開く鑑評会では平成28年以降、5年連続でほぼ上位入賞を果たすなど品質も折り紙付き。そんな納豆を作る藤原食品(京都市)の4代目代表、藤原和也さん(42)に、なぜ京都で納豆なのか、話を聞いた。(聞き手・編集委員 岡田敏一)

たれより大豆の味で勝負

 京都市営地下鉄烏丸(からすま)線の鞍馬口(くらまぐち)駅から西に徒歩約2分。京都らしい閑静な住宅街の中に朱色の暖簾(のれん)が見える。慌てていると通り過ぎてしまいそうだが、この暖簾が「藤原食品」の目印だ。「最近はネットで所在地を調べて、直接、買いに来られる方も増えています」と藤原さん。

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まった昨年以降、納豆のような発酵食品を積極的に口にする人が増えている。発酵食品が腸内環境を整え、免疫力をアップさせることで感染を予防するといわれるからだ。

 そんなわけで、関東ほど日常に定着していない関西でも大注目される納豆だが、なかでも最近、京都ブームの追い風に乗り、知名度を高めているのが「京納豆」や「鴨川納豆」といった藤原食品が製造する納豆だ。

 京都ではスーパーや百貨店などで買えるが、遠方に住む京都好きの中には、わざわざ足を運ぶ人もいるらしい。「コロナ禍で売り上げは以前の1・5倍弱に増えました。店頭からあっという間に消える感じですね。このご時世、申し訳ない気もします」

 しかし、それもそのはず。京都好きの食通なら食べて損はないのは間違いない。免疫力アップのため、昨夏からよく納豆を食べている記者だが「大粒 京納豆」(1パック80グラムで税込み139円)は確かにおいしい。大粒なので、ひと粒の大きさは一般的な3パック入りの商品の1・5倍はある。付属のたれとからしを入れ、かき混ぜると粘る糸が。特有の臭みも感じられない。口に入れると大豆のうまみがしっかり広がる。

 藤原さんは「うちの商品はたれの味より大豆の味が勝っていて、大豆のうまみを堪能できるはず」と胸を張り、こう付け加えた。「関東の納豆は、せっかちな江戸っ子がご飯に乗せてかきこむのに便利なように小粒。しかし京都の納豆は、ご飯とは別に、おかずとしてしっかり成立する大粒なんです」

 大正14(1925)年創業で約100年の歴史を誇る同食品。「京納豆」のシリーズや「鴨川納豆」など京ブランド認定の納豆7種類を週4日、7000パック製造するが、メディアの脚光を浴びることはなかった。「そもそも、ご近所さんでなければ、ここで納豆を作っていることすら知られていませんでした」

 そんな同社の納豆がなぜ注目を集め始めたのか。理由はコロナ禍だけではなかった…。

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