小川洋子さんが語った文学の深み「理屈ではさばけない闇」

 『博士の愛した数式』『薬指の標本』などで知られ、海外でも高い評価を受ける兵庫県西宮市在住の作家、小川洋子さん(58)が、大阪文学学校(大阪市中央区)主催の講演会にオンラインで出演し、自身の作品世界や創作をテーマに語った。人間、そして社会について、「理屈ではさばききれない闇のようなものがあり、それを見捨てず、すくい上げるのが文学」と、思いを披露した。

(横山由紀子)

 講演会は同校を会場に、自宅からオンライン出演した小川さんをスクリーンで映して実施。小川さんは、伏線を張って、最終的にそれが回収された原因と結果がぴたりと当てはまる小説を例に挙げ、次のように述べた。

 「読んでいて腑に落ちるけれど、本当の文学の本質は実はそういうところにないんじゃないのかな。理屈で説明できないものを見捨てないですくい上げる。それが文学じゃないのかなと思うのです」

 そして現在も読み継がれる世界文学には、「決着がついてない、伏線がそのままほうり出されたような小説が案外あり、あっけにとられるというか、不意を突かれる感覚があります」という。例えば、スタンダールの『赤と黒』、E・ブロンテの『嵐が丘』、ディケンズの『信号手』、谷崎潤一郎の『細雪』…。

 「どうしてこうなるのか全然説明してくれていない感覚を受けるけれど、なぜか引き付けられ、深い感銘が得られる。そういう小説が、ちゃんと生き残っているのですね」

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ