特派員が見たコロナ感染のいま(下) ワクチン接種が最大の課題、格差懸念も

 ■水際成功も進まぬ接種 台湾・台北

 台湾では4月23日、70日ぶりに市中感染が確認された。インドネシア人の3人で、航空会社に勤める40代の男性パイロットと、その親族と同僚だった。3人が台北市のモスク(イスラム教礼拝所)を一緒に訪れていたことも判明。当局は3人と接触した58人に隔離措置を取り、モスクを一時閉鎖した。

 「政府がきちんと対応してくれるので、心配をしていない」。モスクの近くで散歩する50代の女性は取材にこう語った。

 水際対策を徹底してきた台湾では、これまで約1100人の感染者を確認したが、その約9割が空港などでの入境の際に判明し、感染者が街中に現れる事例は少ない。昨年末、ニュージーランド国籍のパイロットが感染した後、友人と台北市内で食事したことが明らかになり、一時パニックになったが、当局は迅速な対応で感染拡大を防いだ。

 しかし、ワクチン接種が進まないのは台湾当局の悩みのタネだ。これまでに約30万回分のワクチンを輸入し、3月下旬から希望者を対象に接種しているが、市中感染が少なく、接種の必要性を感じる人が少ないためとみられ、1カ月で接種を受けたのは人口2300万余りのうち約4万2千人にとどまった。

 台湾大手紙の医療担当記者は「このままでは新型コロナが収まって人の往来が自由になったとき、集団免疫のない台湾だけが取り残されることになる」とも懸念している。(台北 矢板明夫)

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