【ぐんまアート散歩】2大河川が育んだ「風土」見つめ直す 

 「創造的太田人の創出」をコンセプトに、「太田市美術館・図書館」が東武線太田駅前に開館して4年。本来なら、東京五輪開催年の昨年に開く予定だった開館3周年記念展「HOME/TOWN」が五輪同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、遅れて開催中だ。

 太田にゆかりのある3人の作家が、改めて風土を見つめなおすという企画だが、その起点は川だという。

 「太田」の由来は、一説に「豊かな田んぼ」といわれる。栃木、埼玉との県境にもなっている利根川と渡良瀬川という2つの一級河川がもたらす肥沃(ひよく)な大地が源泉となり、人々の生活が営まれている。

 3人の作家は、太田生まれの詩人、清水房之丞(1903~64年)、埼玉生まれで太田育ちの美術家、片山真理(87年~)、太田生まれの写真家、吉江淳(73年~)。時代も創作形式も異なるが、3人とも太田の風土や歴史、生活の中で育まれた。

 会場に入ると、まず片山の大きな写真作品に迎えられる。東京から群馬に拠点を移した自身の「帰途」を主題とする5点のシリーズ作品「on the way home」だ。川を舞台に選んだ理由として片山は「完結しないもの、続いていくもの」としての象徴としたうえで、「郷里の象徴」でもあるという。先天性の四肢疾患により、9歳の時に両足を切断した片山は、自身の身体を模した手縫いのオブジェをまとって撮影したセルフポートレートで知られる。

 吉江作品は、太田市周辺の北関東で撮影されたシリーズ作品の「地方都市」と「出口の町」からの115点、平成21(2009)年以降、撮り続けている「川世界」からの18点。サビを帯びたような鈍い色調で、淡々とそこに在るように見えるが、川や土に堆積した時間を捉えている。どれも見慣れた風景のようでもあるが、人物は一切登場せず叙情を排し虚無感すら漂わせる。本人は自身に刻まれた「自然と人工との中途半端な距離感を持つ景色」という。

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