東京・三鷹駅で“南北問題” 蔓延防止区域で「仕方ない」「不公平」

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う蔓延(まんえん)防止等重点措置をめぐり、対象区域の線引きの難しさが浮き彫りとなっている。東京都では区部と立川市や調布市など6市が対象となったが、対象の武蔵野市と対象外の三鷹市は、JR三鷹駅を境に南北で分かれ、対象外の南側では人出が目立った。今回の措置に飲食店からは「仕方がない」と理解を示す見方がある一方、「不公平」「三鷹市で感染が広がる」といった懸念の声も聞かれた。(橘川玲奈)

 三鷹駅は杉並区や世田谷区と接する三鷹市の北端に位置する。都心に向かうJR総武線の始発駅で、近年は住宅関連会社などが実施する「住みたい街」に関する調査で上位に食い込む人気のエリアだ。北口側が吉祥寺などの繁華街を抱える武蔵野市、南口側が三鷹市となっている。

 12日に都内で適用された蔓延防止等重点措置に伴う飲食店の時短要請で、北口の飲食店の閉店時間は午後8時に繰り上げられた一方、南口は9時にとどまった。

 北口は大手居酒屋チェーンや牛丼チェーンの本社があり、関連店舗や個人経営の飲食店が軒を連ねる。南口もチェーンを中心に駅前の通りに飲食店が並ぶ。

 北口側のラストオーダーは午後7時。13日午後6時半すぎ、駅近くの焼き肉店や居酒屋では空席が目立った。スペインバル「ムサシノバル」もその一つ。店長の清水亮太郎さん(32)は「午後9時が閉店だった頃と比べ、人の入りは少ない。予約の取り消しが今日だけで3件。予約時間を早める人もいた」と打ち明ける。駅の南北で対応が分かれたことについては「公平じゃない感じもするが、コロナが早く収まるなら応援したい」と理解を示した。

 一方、南口の焼き鳥店には午後7時を過ぎても、スーツ姿の男性グループが吸い込まれていく。北口とは対照的に、満員の店もあった。措置の対象地域の閉店時間を迎えた午後8時、北口の飲食店は看板の電気を切ったり、シャッターを閉めたりする光景が見られた。

 午後8時40分ごろ、南口には食事を終えた人が駅に戻り始めていた。南口のそば店を出た八王子市の会社員の男性(41)は、「店は客でいっぱい。店員さんも忙しそうだった」と話す。「施策としては生煮えな気もするが、どこかで線を引くのは仕方がないのでは」と述べた。

 南口の静岡おでん店「ハナクラ」は午後9時、閉店を知らせる看板を入り口に置いた。オーナーの中山圭さん(40)によると北口のラストオーダー時間の午後7時ごろから、入店できるかを尋ねる電話が相次いでいるという。「北の飲食店とは仲良くさせてもらっているのに、いさかいの原因になってしまう。感染防止策と言いながら、三鷹市側に人が集まって、感染者が増えるなら意味がない」と憤った。

 都総合防災部の担当者は「対象外の市に人が流れているという意見は承知している。多摩地域では市内に一定以上の繁華街があることや感染状況などから対象の6市に決めた。市街地が市境にまたがって広がる『連坦(れんたん)性』がある地域は合わせて指定することも検討したが、基準を設けた」と話した。

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