奈良県「自宅療養者ゼロ」限界 感染拡大で待機者300人超

 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、奈良県の「自宅療養者ゼロ」方針が限界を迎えている。県内では今月9日に過去最多の96人の新規感染者が判明、14日も94人と過去2番目に多く、病床使用率は同日時点で約68%、宿泊療養施設も約65%に達している。県は感染者の自宅療養を認めない方針を堅持するが、入院や宿泊療養施設に入所待ちの自宅待機者は過去最多の300人を超えており、状況次第で方針の転換を迫られそうだ。

 「連日多くの感染者が発生し、入院・入所調整の事務手続きが追い付いていないのが現状だ」。県地域医療連携課の担当者はこう話す。

 県によると、14日時点で自宅待機となっているのは319人。感染力が強く重症化しやすいとされる変異株の感染者増加により、入院などの調整に時間がかかっており、中には1週間近く自宅待機している人もいるという。

 厚生労働省は、軽症・無症状者については感染状況に応じ、宿泊施設や自宅での療養を容認。変異株感染者にも同様の対応を取ることを認めている。

 しかし、県は感染拡大防止のため軽症・無症状者についても医療機関や宿泊療養施設での療養を徹底。家族の介護やペットの世話などやむを得ない事情で拒否する人はいたが、原則自宅療養は認めてこなかった。

 ただ、3月末からの感染急拡大で県の方針維持は難しくなっている。県によると昨年10月以降の「第3波」では感染者の約9割が陽性判明から2日以内に入院・入所できていたが、今月1~5日の新規感染者の約4割は入院・入所の調整中で自宅待機に。うち3日以上待機している人は5割近くを占めた。

 また、宿泊療養施設の使用率も上昇。今月中に新たに宿泊療養施設約170室の運用を始めるが、関西では変異株が主流となっていることなどから、自宅待機者の増加や待機日数の長期化が懸念されている。

 こうした状況を受け、奈良市は13日、自宅待機者を支援する専属チームを発足。健康確認や食料品を提供する方針を示した。

 県内の医療体制は逼迫(ひっぱく)が続くが、荒井正吾知事は「県内の感染は大阪由来のものが多い」として「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用要請には慎重な姿勢を示す。一方、奈良市の仲川げん市長は「市中における感染拡大は深刻の度を増している」として、荒井知事に措置適用を求める要望書を6日に提出。奈良県市長会も15日、県に対して、効果的な蔓延防止対策に取り組むよう緊急要望を提出した。

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