大阪で変異株猛威 若年層に急拡大 病院側は負担増を懸念

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、8日から府内全域での不要不急の外出自粛要請が始まった大阪府では、変異株の猛威が止まらない。従来型のウイルスと比べ、若年層を中心に全年代で感染が広がっており、重症化率も高い。府の要請に応じて病床を段階的に運用している府内医療機関では、変異株の拡大が今後も見込まれることから厳しい運営を余儀なくされている。

 全国初の新型コロナ専門病院として稼働する大阪市立十三(じゅうそう)市民病院(同市淀川区)では、3月下旬から患者の受け入れが徐々に増えた。当初は30代以下の若い患者もいたが、今は70代以上が半数を占める。約40人の入院患者のうち約10人が変異株感染者という。

 以前は行政側から、搬送される患者について変異株感染の有無を伝えられていたが、担当者は「検査に手が回らないのか、多忙で連絡ができないのか、ここ1週間は分からないまま受け入れている」と明かす。

■30代以下が6割

 「第2波、第3波を大きく上回る速度で感染が拡大している。背景にあるのは変異株だと思われる」。7日の府の対策本部会議で、藤井睦子健康医療部長は感染状況を資料で説明し、危機感をあらわにした。

 府のスクリーニング検査によると、変異株の感染が確認された人は緊急事態宣言が解除された2月末~3月6日には18人だったが、3週間後の同21~27日には169人に急増。同28日~4月3日には224人となり、スクリーニング検査における陽性率も73・7%となった。

 若年層での感染も目立つ。昨年10月10日~今年2月末までの「第3波」における30代以下の感染者の割合は45・6%だったが、今月5日までに確認された変異株では58・2%。このうち10歳未満は7・6%で、第3波(2・7%)と比べて約3倍に増えている。

 変異株は重症化率も高く、40代以上で10・7%、60代以上で22・7%と、第3波の約2~2・6倍。発症してから重症化するまでの日数は6・5日で、第3波の8日より1・5日早い。

■院内感染リスク

 府は7日までに、重症者を受け入れている医療機関に新たに約70床を確保するよう緊急要請を発出。軽症・中等症患者を診療する医療機関には、重症化した際には転院させず、約30床を上限に入院を継続するよう求めた。

 ただ医療現場には余裕がない。「(コロナ)ワクチン接種にマンパワーが割かれている」「無理をすると院内感染からクラスターが発生する」。7日の府の対策本部会議では、専門家からこうした意見が寄せられた。

 軽症・中等症患者を受け入れる国立病院機構近畿中央呼吸器センター(堺市北区)では、重症化や変異株の疑いがある患者を個室で対応している。重症に転じた場合はそのまま治療を続ける方針だが、対応には経験のある医師や看護師らのマンパワーが必要だ。担当者は院内感染のリスクにも言及し、「負担がこれ以上かかることに不安感がある」と述べた。

 「通常診療も続けながらどこまで人を割けるのか…」とため息を漏らすのは、府南部の公立病院の担当者。第3波までは患者が重症化すれば速やかに転院させていた。ただ変異株の影響は軽視できず、「今の態勢を維持し、何とか治療を続けていくしかない」と話した。

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