ワクチン輸送作戦 離島・山間部にどう運ぶ 冷凍船投入も

 医療従事者への先行接種が17日、始まった新型コロナウイルスのワクチン。感染収束の「決め手」として期待がかかるが、そのためには、全国に広く届けなければならない。400を超える有人離島があり、山間に数多くの集落を抱える日本では、低温管理が求められるワクチン輸送には困難がつきまとう。関係者は冷凍庫を積んだ「冷凍船」で島を巡る案を検討するなど心を砕いて、「モデル」を構築しようとしている。(荒船清太)

船で13時間の島

 鹿児島県十島(としま)村には、医師が一人もいない。

 鹿児島湾から南東約200キロ、火山活動が活発な諏訪之瀬島など7つの有人島を抱え、最南端の宝島は鹿児島湾から船で13時間かかる。米ファイザー製のワクチンはマイナス75度前後での管理が必要。冷凍庫から出した後は、保冷ボックス(2~8度)で輸送するが、厚生労働省の手引きでは、原則3時間以内、どんなに長くても12時間を超えることはできないとされており、通常の手段では間に合わない。

 十島村では政府から支給される予定の超低温冷凍庫(ディープフリーザー)をフェリーに載せて「冷凍船」を仕立てることでこうした難題に挑む計画だ。

 冷凍船が鹿児島湾内の拠点に出向いてワクチンを冷凍庫に移し替え、7つの島を巡る。島に着いてから冷凍庫から出して保冷ボックスに移すため、3時間以内に輸送できる。医師は、本土から月に2回来る定期診察の機会に合わせて確保する。ただ、しけで船が運航しない日も想定され、計画は立てづらい。

 ほかにも問題はある。高齢者は211人だが、接種対象の16歳以上の住民は計538人。一度で運び入れられる量で高齢者以外にも接種できるが、接種時期を分けると、ワクチンは1本で5~6人分のため、一定の無駄が生じてしまう。

 塩田康一県知事も一斉接種に理解を示しており、十島村担当者も「一斉接種できるよう柔軟な運用を認めてほしい」と訴える。

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