「ホテル丸ごと貸し切れます」訪日客消えたミナミで奇策

 昨年12月、ラグビーの大会を控えたチームと関係者約60人の団体を受け入れたことが発案のきっかけ。感染対策への配慮から、1人1室にして他の予約を入れなかったところ、「貸し切りで安心だね」と喜ばれた。第3波による「Go To トラベル」の事業停止でキャンセルが相次ぎ、どん底にあったなか、新たな需要に気付いたという。

■「従業員は家族」

 観光庁が毎月実施している宿泊旅行統計調査によると、宿泊した人の宿泊数を合計した「延べ宿泊者数」は、日本政府の入国拒否が始まった昨年2月から外国人が急減。同4月に13都道府県に緊急事態宣言が発令され、地域間の移動自粛や「ステイホーム」が呼びかけられると、日本人宿泊者数も激減した。

 同7月以降は政府の観光支援事業「Go To トラベル」で回復傾向となったが、第3波の感染拡大により同事業は年末に一時停止に。コロナ禍で大打撃を被った業界の一部では採用中止や人員整理の動きが出ている。それでも橋本さんは「従業員は家族」と言い切る。昨春の緊急事態宣言で、系列の全3ホテルが休業となった際にも、全従業員にメッセージを出し、雇用の維持と休業補償を約束した。

 《私たちの使命は変えません。元に戻ったら、今まで以上に日本と世界の架け橋としてお手伝いをしましょう》

 もっとも内情は厳しく、毎月数千万円単位で固定費や人件費の支出が続く。橋本さんの折れそうな心を支えたのは、従業員からの手紙やビデオメッセージだった。「世界と日本の架け橋になることを諦めない」「休業中に語学を磨く」。外国人社員の中には、業界の現状を憂い「解雇を覚悟していた」と感謝をつづった人もいたという。

 一向に収束する気配が見えないコロナ禍。再起へ向けた試練は今後も続くが、橋本さんは確信している。

 「訪日客需要減で一番打撃を受けた私たちが新たな挑戦を続ければ、ミナミを勇気づけられる」

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