藤井聡太二冠がV AI判定99%負けから渡辺名人に逆転、AI判定98%負けから三浦九段にも/将棋

 第14回朝日杯オープン戦 本戦トーナメント(11日、東京・有楽町朝日ホール)将棋の高校生タイトルホルダー、藤井聡太二冠(18)=棋聖・王位=が、決勝で三浦弘行九段(46)を逆転で破り、2年ぶり3回目の優勝を飾った。この日の準決勝では、渡辺明名人(36)=棋王・王将=を相手に、AI(人工知能)が勝率「1%」と予測するなかで大逆転。同棋戦では2018、19年に2連覇を果たしており、タイトル戦以外の一般棋戦優勝は銀河戦1回、新人王戦1回と合わせ5回目となった。

 藤井二冠が、リモート観戦した全国のファンを熱狂させる激アツの戦いを見せた。

 「優勝という結果が出たのは良かった。でもきょうの2局はどちらも苦戦。内容を反省して次につなげたい」。ステージ上で金のトロフィーを受け取った藤井二冠は、喜びながらも反省しきり。だが、どんなに劣勢でも勝負を覆す「終盤力」の強さが、この日も出た。

 圧巻は準決勝。渡辺名人とは、昨年7月に初タイトルを奪取した棋聖戦五番勝負以来の対局。渡辺名人は、2年前の朝日杯オープン戦決勝での初対決でも藤井二冠に敗れており、「まとめて借りを返す」と燃えていた。

 その言葉通り藤井二冠は中盤以降、劣勢に。だが、40分の持ち時間を使い切り、1分将棋になると、「開き直るしかないのかと思っていた」という驚異の粘りで、渡辺名人に食らいついた。

 ぎりぎりの攻防で、両者ともに一つのミスも許されない最終盤、対局中継のAIが出した藤井二冠の勝率はわずか「1%」。だが、藤井二冠に重圧を受けながら渡辺名人が悩んで指した123手目が悪手となり、AIの評価は一気に逆転。渡辺名人はこのまま138手で投了に追い込まれ、「決め手をつかませてもらえない藤井さんの指し回しで、逆転されてしまった」と述べた。

 藤井二冠は決勝でも終盤、絶体絶命の敗勢をひっくり返した。元棋聖の三浦九段に追い込まれ、AI評価値は一時「2%」まで急落したが、ここでも動じずに指し続け相手のミスを呼び込んで逆転。101手で敗れた三浦九段を「藤井さん相手にこれだけ指せれば十分です」と自嘲させた。

 会場に足を運んでいた師匠の杉本昌隆八段(52)は「過去2回と比べても一番苦しい優勝」と振り返った。一方、早指しの上、トーナメント制でもある朝日杯は「反射神経と決断力が求められ、好調さを計るバロメーターとなる棋戦」とし、「藤井二冠はいま、間違いなく絶好調」と太鼓判を押した。

 この日の2勝で2020年度の勝数(41勝)、勝率(・837)、連勝記録(14で1位タイ)はいずれも全棋士中トップ。昨夏には史上最年少2冠ともなり、将棋界の表彰である今年度の将棋大賞では、最優秀棋士賞の最有力候補だ。

 来月には名古屋市内の高校を卒業し、いよいよ棋士一本の新生活がスタート。当面は地元の愛知県瀬戸市で生活するが、杉本八段は「受け答えに、堂々とした風格を感じる場面も出てきた。今年度は七段から二冠になり、これから藤井時代が始まる、その第一歩となる1年だったと思います」。高校生活の最後を飾った節目の優勝を祝福した。 (丸山汎)

◆朝日杯オープン戦

 2007年創設。八大タイトル戦に次ぐ全棋士参加の一般棋戦。全プロ棋士、アマチュア(2人)、女流棋士(3人)が出場し、1次予選、2次予選、本戦(16人)の全てがトーナメント方式で争われる。決勝も一番勝負。持ち時間は棋戦の中でも比較的短い各40分。使い切った後は1手1分未満で指す。予選から1人が1日2局指すことが多く、本戦も基本的に1日2局指す。優勝賞金は750万円。

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