「母国の文化財保護の担い手に」奈良文化財研究所で奮闘する留学生

 奈良市の奈良文化財研究所(奈文研)の保存修復科学研究室でモンゴルや中国の留学生ら4人が、母国の遺跡や文化財を守る担い手になるべく奮闘中だ。指導にあたる高妻(こうづま)洋成副所長は「文化財に国境はない。日本で学んだ技術や経験が一つでも多くの文化財を救うことに役立ってほしい」と期待している。(桑島浩任)

 「日本の高度な保存技術を学び、母国で広めたい」

 同研究室で学ぶモンゴル出身のオドフー・アンガラグスレンさん(37)はこう話す。母国の遺跡が十分に守られていないことに危機を感じ、文化財保護の道を進むことを決意。日本で遺跡の保存・修復技術を学ぼうと平成28年に京都大学大学院に入学し、実践的な知識を得るため京大と協定を結ぶ奈文研の門をたたいた。

 保存修復科学研究室は遺跡から見つかった出土品の保存・修復や、文化財の劣化を抑制する技術開発などを担当。科学技術を活用することも多く、アンガラグスレンさんら学生は、職員とともにエックス線撮影装置やコンピューター断層撮影装置(CT)を使った材質確認や、真空凍結乾燥機で木製遺物を乾かすといった保存処理を行うほか、保存した文化財のデータ解析、発掘調査に携わることも。

 高妻副所長は「学生たちはここで保存技術のノウハウ以外にも歴史や考古学、地質学など遺跡や文化財に応じたさまざまな知識の習得を図っている」と語る。

 ■高い日本の保存技術

 奈文研では、国内外で文化財の研究や保護に携わる人材を育成しようと、平成6年から京大大学院の修士・博士課程に所属する学生を約20人受け入れてきた。

 研究室には所属を希望するアジア圏からの学生が多い。中国山東省出身の肖舒尹(しょう・じょいん)さん(25)は木材の保存を専門に学んでおり、「日本は木製の文化財がたくさんあるので学べることが多い。ここでは関連するさまざまな分野の知識も学べるので視野が広がる」。台湾から来た荘旺璋(しょう・おうしょう)さん(29)は、石造文化財の保存が専門。「奈文研は分野にとらわれず何でもやれるので毎日が挑戦だ」と笑顔を見せた。

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