研究の本質一目で伝える 京大初のサイエンス・イラストレーター

 研究者が世界に向けて発表する論文で、一目で科学的な内容が伝わるイラストの存在感が増している。京都大でもiPS細胞研究所(CiRA、サイラ)に、こうした図を描く「サイエンス・イラストレーター」が初めて誕生。世界的学術誌の表紙を飾るなど、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った研究が進むサイラの国際的評価の一翼を担っている。(桑村大)

 羽ばたくフクロウや駆ける犬-。羽や体の動きは忠実に描かれ、画用紙から飛び出してきそうなほど躍動感にあふれる。

 「羽の構図や動物の骨格も、全て科学的な意味があり、サイエンス・イラストレーションは対象を忠実に再現することから始まります」。サイラ国際広報室に所属するサイエンス・イラストレーター、大内田美沙紀さん(38)が説明する。

 子供の頃から絵を描くのが好きで、高校時代には美術部にも所属したが、選んだのは研究者の道。進学した広島大では、宇宙の起源に迫る素粒子物理学を学び、修了後に留学して自然人類学を専攻した米ワシントン大で転機が訪れた。

 解剖学の授業で、人体の構造をイラストに描き起こして学んでいたところ、ノートにびっしりと描かれた図を見た指導教員から「科学を絵にする才能がある」と指摘された。

 サイエンス・イラストレーターの存在すら知らなかったが、「好きな科学とイラストが両立できる」と志望。研究の傍ら、夜間に同大の養成コースで学び、修了後は米コーネル大鳥類学研究所や米スミソニアン国立自然史博物館で、研修生として技術を高めた。

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