藤井聡太二冠、“ラスボス”豊島竜王を撃破「強い相手は楽しい」7度目対戦で初白星

 将棋の高校生タイトルホルダー、藤井聡太二冠(18)=棋聖、王位=が、準々決勝で豊島将之竜王(30)=叡王=に94手で勝利。公式戦6戦全敗だった苦手な相手から“7度目の正直”で初勝利をもぎ取った。これで同大会は4年連続4強。2018年に一般棋戦優勝の最年少記録(15歳6カ月)を達成するなど相性のいい大会で、2年ぶり3度目の優勝を狙う。

 ついに“ラスボス”を倒した。

 豊島竜王が頭を下げて投了を告げると、公開対局を観戦した将棋ファンの拍手が沸き起こった。

 「過去、豊島竜王には公式戦で勝てていなかったですが、強い相手と対局できるのは楽しいことなので、過去の成績というのは忘れて一生懸命指そうと思っていました」

 この日午前の1回戦で、大石直嗣七段(31)に安定した指し回しで勝利。午後の準々決勝で強敵との対局を心待ちにしていた。

 2018年に最年少一般棋戦優勝記録、19年には同連覇記録を更新した相性のいい朝日杯。しかも地元・愛知(瀬戸市出身)での対局。後手の藤井二冠は序盤から積極的に攻めた。

 持ち時間各40分の早指し勝負。戦型は両者得意の角換わり。藤井二冠は銀を3七~4六で使う「早繰り銀」の秘策を繰り出し、豊島竜王の意表を突いた。

 「持ち時間が短い将棋なので積極的に攻めていく展開にできればと思っていました」

 それでも形勢は二転三転。持ち時間を使い切り、1分将棋となってもハイレベルな将棋が続いた。だが、若き天才が限られた時間の中で、ひらめきを見せる。最終盤に指した△8六歩。ここから一気に寄せ、豊島竜王を投了へと追い込んだ。

 6戦全敗-。数々の記録を塗り替え、驚異的な強さを見せる藤井二冠が、数回対局のある棋士の中で唯一勝てていない相手が同郷の豊島竜王(一宮市出身)だった。6度目の対局となった昨年10月の第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦では、ほぼ勝利を手中に収めながらも、終盤のミスで大逆転負け。“7度目の正直”で、ついに初白星を挙げた。

 準決勝と決勝は2月11日に東京都内で行われる予定。準決勝では昨年7月の棋聖戦五番勝負で、3勝1敗で初タイトルを奪取した渡辺明名人(36)=棋王・王将=と対峙する。「1、2回戦をとてもいい内容で勝たれていて、手ごわい相手という印象ですが、いい将棋が指せるように精いっぱい頑張りたいと思います」と藤井二冠。2年ぶり3回目の優勝へ、これ以上ない弾みをつけた。

◆敗れた豊島竜王 「(藤井二冠の早繰り銀は)あまり予想していなかったというか、準備不足だった」

★藤井二冠の今年の対局

 朝日杯オープン戦準決勝(2月11日)の直前となる2月9日には、第79期順位戦B級2組で窪田義行七段と対戦。B級1組への1期抜け昇級がかかる大事な対局となる。今年は昨夏に獲得した2つのタイトルの初防衛戦も控える。まず棋聖戦五番勝負は例年6月に開幕予定。防衛してタイトル通算3期となれば最高段位の九段昇段が決まり、渡辺名人の持つ21歳7カ月の最年少九段昇段記録を更新する。7月には王位戦七番勝負が開幕。現在、段位別予選八段戦の決勝まで勝ち進んでいる叡王戦も、7月下旬に五番勝負が始まる。今年は最年少三冠なるか?

★朝日杯オープン戦

 2007年創設。八大タイトル戦に次ぐ、全プロ棋士、アマチュア(10人)、女流棋士(3人)が出場する一般棋戦。1次予選、2次予選、本戦(16人)の全てがトーナメント方式で争われ、決勝も一番勝負。持ち時間各40分で、本戦は基本的に1人が1日に2局対局する。優勝賞金は750万円。

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