京阪神の飲食店、時短は継続・拡大へ 店主ら動揺も

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府に緊急事態宣言発令の要請を決めた関西の2府1県では、酒類を提供する飲食店を対象とした営業時間の短縮要請などが継続・拡大する見通しとなった。「解除の明確な指標を」「仕方がない」。耐え忍ぶ日はいつまで続くのか。関係者は複雑な反応を浮かべた。

 「時短の期間が長くなるばかりで、今は不安が募るだけ」。収束が見通せない状況に、大阪市の繁華街・ミナミの居酒屋「二色(にしき)」の店主、新井ユミさん(65)がため息をついた。

 大阪府は8日、大阪市全域に11日まで要請している午後9時までの営業時間短縮について、12日以降も継続することを決めた。昨年11月末から時短要請に応じる同店では客足が遠のいており、「いつまで持ちこたえなくてはいけないのかという不満はある」。

 すでに行われている時短要請が2月7日まで延長となった京都市内の飲食店からも不安の声が漏れた。

 同市下京区の居酒屋「五黄の寅」の安藤明店長(30)は「時短要請には従うつもりだが、営業方法は直前まで検討したい」と話した。協力店に支払われる協力金は1日あたり4万円。同区の居酒屋「宝堂~KARASUMA~」の田川裕仁店長(29)は「正直見合わない」とこぼした。

 大阪府は緊急事態宣言が発令された場合、時短要請の対象を府全域に広げ、営業時間も午後8時までに繰り上げる。これまで時短とは無関係だった地域の飲食店にも動揺が広がった。

 「時短か休業か。採算を考え、一番ましな選択をしなければ」。堺市南区の商業施設にある焼き肉店の山野龍一オーナー(37)は表情を曇らせる。府の発令要請への動きを受け、8日はランチ時の来客が激減。山野さんは「(宣言を)解除する明確な指標がなく、世論に押されて宣言が出されるならば終わりが見えない」と懸念を示した上で、「ワクチンで安心感が広がるまで耐えるしかないが、そこまで体力が持つだろうか」とつぶやいた。

 一方、兵庫県内では、神戸、芦屋、尼崎、西宮の4市の一部飲食店が、午後9時までの営業時間短縮の対象となる。

 今月5日にオープンしたばかりという尼崎市の居酒屋の女性店主(43)は「店を開くのにかなりの資金を使った。ここ1カ月ほどががんばり時だと張り切っていたのに、出ばなをくじかれる思いだ」とうなだれた。

 神戸・南京町の広東料理店「京(きん)華(か)樓(ろう)」で働く長谷川勇一さん(47)は「(緊急事態宣言には)従うしかない。コロナの収束なしに元の生活はない」としながらも、「ただでさえ客足は例年の1割程度。周囲の店からも不安な話を聞くことが多く、明るい正月とは言えない」と苦渋の表情を浮かべる。昨年6月、近くに別店舗を開店したばかりで「時期が時期だけに苦しい。飲食店はもうぎりぎり。行政はそれを踏まえて補償の内容を決めてほしい」と訴えた。

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