杉本昌隆八段「どんどん食べてバンバン指せ」 藤井聡太二冠に受け継がれる亡き師の教え

 【私を支えた言葉】

 新型コロナウイルスによる混乱が続く中、自分を支えている「言葉」を各界の著名人らに聞く新連載がスタート。第1回は将棋の杉本昌隆八段(52)。今夏、史上最年少でタイトルホルダーとなった高校生棋士、藤井聡太二冠(18)を育てた師匠は、苦境の中でも「楽しさ」を見つける大切さを説く。まな弟子にも受け継がれるその姿勢は、亡き師の教え「どんどん食べてバンバン指せ」から生まれたと明かした。(取材・構成、丸山汎)

 コロナ禍で日本が閉塞感に包まれていた7月、藤井七段=当時=が棋聖戦五番勝負を制して史上最年少でタイトルを獲得した快挙は、久々の明るいニュースとなった。

 杉本八段は、関西将棋会館(大阪市)で、右手を握りしめ中継を見つめていた。「これをものにすれば、自分も、日本中も元気になるのではないかと。辛く感じることばかりでしたから…」。

 将棋界も苦しかった。4、5月は長距離移動を伴う対局が延期に。各地のイベントは中止、自身が名古屋市で主宰する将棋教室も3カ月以上、中断を余儀なくされた。

 「棋士にとって対局は命のようなもの。それが全て無くなったのは辛かった」

 暗中模索の中、オンラインで教え子を指導し、リモートでの研究会を開くなどして前を向いた。

 「いまの環境を受け入れ、そこに楽しみを見いだす。コロナ禍でなければ体験できなかったこともある。多少こじつけでもいいので、その方が頑張れる気がするんです。それが私の哲学です」

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ