私立大入試は「難関・上位大挑戦」「地元回帰」傾向 河合塾まとめ

 来年度入学の私立大入試で、ここ数年の安全志向で人気を集めていた中堅大の志望者数が前年と比べて減少した一方、早稲田や慶応など一部の難関・上位大に持ち直しの動きが出ていることが、大手予備校の河合塾がまとめた入試動向で分かった。地方大の志望者数が大きく伸びていることも判明。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大が受験生の動向に影響を与えている可能性があるとみられる。(福田涼太郎)

 河合塾が10月に実施し、全国で約25万人が参加したマークシート式模擬試験(全統共通テスト模試)の結果を分析。河合塾による入試動向は、今回が今年度の最終版となる。

 この模試の受験者数は新型コロナによる影響で前年比約81%。うち私立大を志望するのは同78%だった。

 今回は、この「前年比78%」を基準に各大学の志望者数を比較。昨年同期の調査で志望者を大きく減らしていた早大は、今回は76%で基準とほぼ同水準を維持。慶大は85%と基準を大きく上回った。

 同様に志望者数の減少傾向が続いていた難関・上位大も明治77%▽立教76%-と基準に比較的近い数値を維持。近畿は、関西学院80%▽同志社79%▽関西76%▽立命館74%-だった。

 一方、中堅大グループの「日東駒専」(日本、東洋、駒沢、専修)は全体で70%、中規模大では上位大に準ずる人気がある「成成明国武」(成蹊、成城、明治学院、国学院、武蔵)も69%と落ち込んだ。

 ここ数年の安全志向は、文部科学省が都市部の大規模大学への助成金交付基準を段階的に厳格化した平成28年度以降、難関・上位大が募集定員を絞っていたことが主な要因だ。

 しかし、定員絞り込みが一段落したことに加え、新型コロナの影響で学校行事が減少、結果として勉強に専念できる時間ができたことで、現役の成績上位層を中心に、ランクが上の大学にチャレンジする機運が高まってきた可能性がある。

 安全志向の状況下では伸びるとされる学校推薦型選抜(旧推薦入試)の志願者数も前年を下回っており、河合塾の富沢弘和教育情報部長は「前年までの状況とは全く違う」と指摘する。

 ただ、難関・上位大でも、上智(73%)▽法政(72%)▽青山学院(69%)-などは低水準で推移している。富沢部長は「一般入試で大学入学共通テストの受験を必須とするなど、大規模な入試改革を行っているケースが多い。初実施となる共通テストへの警戒感などもあり、こうした大学・学部は敬遠される傾向にある」と指摘した。

 また、顕著にあらわれたのが地方大の志望者増だ。北海道の北海学園と北星学園は両大学で83%▽宮城県の東北学院は88%▽愛知県の愛知、中京、南山、名城の大学グループは全体で94%。それぞれ難易度にばらつきがあるにもかかわらず、大きな伸びを見せた。

 今回の模試は新型コロナの感染拡大に伴い、状況がより深刻だった東京や近畿の受験生が少なかったことも結果に影響しているとみられるが、富沢部長は「地元回帰の流れが強まっていることは間違いない。受験生も保護者も都市部での感染拡大を懸念する傾向が続いている」としている。

 ■国公立も志望動向は同じ

 大手予備校の河合塾がまとめた来年度入学の大学入試の志望動向で、国公立大は国立難関大や地方大の志望者数が堅調に推移した。一方、入試改革や新型コロナウイルス対策で、例年と異なる形式の入試を実施する大学は人気を落とす傾向がみられた。

 河合塾の全国模試で国公立大の前期日程を志望した受験者数は前年比84%。それを基準に見た場合、旧帝大に東京工業大、一橋大、神戸大を加えた国立難関10大学は前年比86%と、わずかに上回った。ただ、現役生のみで見ると同94%と高水準で、特に高校生が難関に挑戦する傾向が見て取れた。地方国公立大は新型コロナの影響による地元志向の流れもあり84%だった。

 難関10大に次ぐ「準難関・地域拠点大」(筑波、千葉、横浜国立、新潟、金沢、岡山、広島、熊本、東京都立、大阪市立)は80%にとどまった。河合塾によると、伸び悩みが顕著なのは、学群学類(学部学科に相当)の枠を超えて選抜する「総合選抜」を導入し、同方式で定員全体の約3割を募集する筑波大のほか、コロナ対策で個別試験を取りやめて大学入学共通テストのみで選抜する横浜国大などという。

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