高まる終活への関心「優先すべきは楽しい老後」 関連サービスの充実必要

 それでも80席の椅子はすべて埋まり、多くの立ち見が出る中での講演になった。何よりもうれしかったのは参加者が興味を持って耳を傾けてくれたことだ。とても話しやすかったことを覚えている。講演のタイトルは「定年後から見た終活-『死』から逆算してみる」だった。

 ひと通り講演が終わって質問タイムになり、男性が挙手をして話し始めた。

 「『定年後』の本には、60歳から75歳までは黄金の15年とありました。私は来年75歳になりますが、70代半ば以降のことを今後書く予定はありますか?」と聞かれた。「私は自分の実感や課題意識を絡めないと本を書けません。それは70歳過ぎて取り組むので、あと10年待ってください」と答えると会場からどっと笑いが来た。

 講演を聞いている人たちの顔を見ていて確信したことがあった。この会場に来ている人たちは本気で終活の具体的な準備をしたいわけではない。むしろ誰もが残り少なくなる人生を前向きに生きたいと願っている。そう考えれば、男性の質問内容も、会場の明るい雰囲気も、棺おけに入った人の笑顔や葬儀に使う写真について楽しく語り合っている姿にも合点がいく。

 ブースで提供しているサービスと来場者が求めているものとの間にはギャップが存在する。死んだ後の葬式をどうするかは残る者に任せておけばよい。それよりも自らの老後を楽しく生きることを優先すべきである。それに応えるためのサービスの充実が提供側に求められている。

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