「オレは絶対に悪くない!」という“他責おじさん”が、なぜ出世するのか

 トントン拍子で出世した「他責おじさん」

 1953年に東大を卒業して、通産省工業技術院に入った飯塚被告の上司や先輩には、このような「戦争帰りの他責おじさん」がたくさんいたのである。彼らに師事し、彼らの人事評価を受けて出世した飯塚被告が「他責おじさん」になっていくのは当然なのだ。

 なんでもかんでも旧日本軍に結びつけるなという批判もあろうが、世界的に見ても、軍隊組織は「他責おじさん」の“生産地”になりやすい。組織の命令に従うことが正義なので「オレは悪くない」という考えに陥りやすいからだ。その分かりやすいケースが、世界で最も有名で、最も悪名高い「他責おじさん」である、ナチス親衛隊国家保安本部のユダヤ人課課長だったアドルフ・アイヒマンだ。

 戦後、ユダヤ人の強制収容や大量虐殺の指揮的な役割を果たしたと裁判にかけられたアイヒマンは、自分はあくまで命令に従っただけで、自分の手でユダヤ人を1人も殺してないと釈明し、悪いのは命令を下したナチスであって、自身については「無罪」を主張した。彼も飯塚被告と同じく、こうやって責任を誰かに押しつけることで、組織の中でトントン拍子で出世をした「他責おじさん」だったのだ。

 ナチスに象徴されるファシズムを研究していた若き日のP・F・ドラッカーは、組織がファシズムに陥らないためには、外の世界から情報を得て学習をすること、つまりフィードバックが必要だという結論に至った。ナチスがフィードバックなき組織であることに異論を挟む者はいないだろうが、言われてみればわれらが旧日本軍もフィードバックができていたとは言い難い。参謀本部の暴走を、外部から評価・監査できていなかったのは明らかだ。

 「ウチの上司、絶対に自分の間違いを認めないんだよ」なんて愚痴をこぼしているあなたの会社、実は古い昭和のノリや、ワンマン社長などの影響で、「フィードバックのない組織」なのかもしれない。そのような意味で「他責おじさん」というのは、実はその組織がいかにヤバいのかを教えてくれるバロメーターなのではないか。

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