「オレは絶対に悪くない!」という“他責おじさん”が、なぜ出世するのか

 大企業が受け継いでしまった「負の遺産」

 近代史をはしょる学校教育や偏ったマスコミ報道のせいで、日本では戦争に負けた日を境に、社会や国民の意識がガラリと変わったように勘違いをしている人が多いが、実際は戦時中の体制をそのまま引きずっていた。総理大臣を務めた吉田茂や佐藤栄作を見れば分かるように、政治家も官僚も基本的に、戦前戦中のエリートが「続投」した。

 民間企業も同様で、伊藤忠商事で会長を務めた瀬島龍三氏のような旧日本軍のエリートたちが続々と大企業に入社し、軍隊時代の上下関係やネットワークを駆使して日本経済のかじ取りをしていく。世代的にも当たり前の話だが、戦後の日本企業の成長を支えてきた人々の中に、かなりの割合で旧日本軍OBたちが含まれていたのは、動かし難い事実である。だから、電通や東芝など戦前から続く名門企業になればなるほど、前近代的な「しごき」や上司の命令には絶対服従という軍隊的カルチャーがいまだに尾を引いているのだ。

 そんな旧日本軍から戦後の役所や大企業が受け継いでしまった「負の遺産」のひとつが、実は「他責おじさん」である。胸がスカッとする愛国エピソードばかり耳にしている人たちからすれば、なかなか受け入れ難いと思うが、実は旧日本軍は「他責おじさん」たちの巣窟だった。

 戦争中は、「男らしく死んでこい!」と部下に自分の現場判断で玉砕を命じたような指揮官が、戦争が終わった途端に人がコロッと変わり、「戦争が悪い」「軍に逆らえなかった」と被害者のようなことを言い出す人が山ほどいたのだ。軍幹部から現場の指揮官まで「オレは悪くない」の大合唱によって、無謀な作戦や、無意味な玉砕や自決について誰も責任を取らずにうやむやにされた。日本軍という組織全体が「他責」に走ったのである。

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