「オレは絶対に悪くない!」という“他責おじさん”が、なぜ出世するのか

 責任感や几帳面さは、昇進にマイナス

 福島第一原発事故を起こした東京電力でも、福知山線脱線事故を起こしたJR西日本でも、責任を問われた経営陣は「無罪」を主張している。「チャレンジ」という言葉で現場に過度なプレッシャーを与えて不正会計を招いた東芝の経営陣も自分たちの非を認めていない。

 官僚組織でも同様だ。自身の国会答弁がきっかけで、近畿財務局の職員が自殺に追い込まれた佐川宣寿氏も最後までその死の責任をぼやかしたまま4500万円近い退職金をもらって退官した。特ダネをチラつかせて女性記者を深夜に呼び出してセクハラした事務次官も、貧困調査のためというわけの分からない理由で「出会いバー」に通っていた事務次官も、マスコミが悪い、安倍政権が悪い、とよそに責任をなすりつけて、頭を下げることなく逃げ切った。

 これは偶然そうなっているわけではない。実は昭和の日本型組織では、責任をこうやって他人に求めるような人ほど出世しやすかった、ということは研究で明らかになっているからだ。

責任を押し付ける人のほうが出世しやすい?(写真提供:ゲッティイメージズ)

責任を押し付ける人のほうが出世しやすい?(写真提供:ゲッティイメージズ)

 飯塚被告が工業技術院の院長になる2年前の1984年、経営学者の清水龍瑩(りゅうえい)氏は「わが国大企業の中間管理者とその昇進」という研究で、大企業の社員を対象にして何が出世を決めているのかという要因を調査した。その中では「学歴」「交渉力」「忠誠心」などだいたい想像がつく言葉とともに、シビアな現実が浮かび上がった。

 「責任感や几帳面さは、昇進にマイナスに作用」

 それは裏を返せば「今回のミスの責任を取れ!」と周囲から詰めよられても、「いやいや、悪いのは私じゃなくて、私の命令にちゃんと従わなかった部下ですよ」なんて感じで、罪悪感なく責任逃れができる「他責おじさん」ほど、サラリーマンピラミッドを駆け上がっていけるということでもあるのだ。

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