「幸せな介護」を準備し負担軽減 各種制度やサポートを活用、家族間の役割分担決めやすく

定年後・自走人生のススメ

 定年後研究所が、40代から60代前半の現役サラリーパーソンが抱える「不安」を調査したところ、生活上の不安では、「長い老後生活の資金準備は大丈夫か」(28・3%)の次に、「親の介護」(20・3%)や「親の健康」(16・3%)が続いている。この年代層になると、「親のこと」が不安の原因となるようだ。

 公的介護保険の「第1号被保険者(65歳以上)」のうち、要介護(支援)認定を受けている人の割合は、75歳未満の4・2%に対し、75歳以上では31・9%となっている。なんと7倍以上に跳ね上がっていることがわかる。75歳以上の親を抱える年代が、まさに中高年社員層なのである。

 定年後研究所が星和ビジネスリンク社と共同で開発している、中高年社員のキャリア形成のためのセルフ・ラーニングシステム『キャリア羅針盤』でも、親の介護をテーマにした『幸せな介護』というコンテンツを提供していることは、前回お伝えした。

 「介護が幸せ」というのは、どういう意味なのか。コンテンツの監修者である矢野憲彦さん(QOLアカデミー協会代表理事)に伺った。

 「家族介護というのは、確かに大きな負担となります。経済的・身体的な負担に加え、精神的な負担も大きいのです。しかし、事前準備にしっかり取り組むことで、負担は軽減できます」と矢野さんは語る。

 事前に学習し、準備をしておくことで、各種制度やサポートを上手に活用することができ、家族間の役割分担が決めやすくなる。そうすると、各人の負担が軽減され、自分の時間がある程度持てるようになる。

 矢野さんは「介護を経験することで、家族との絆や価値ある時間を過ごすことができ、人生を豊かに輝かせることができます。これが『幸せな介護』なのです」と力説する。

 もし介護が突然始まっても、パニックにならず、適切な判断と行動のコツ「5つのステップ」を矢野さんに教えてもらった。

 (1)冷静な現状把握…搬送(入院)先、症状を確認し、職場の上長に報告。すぐに病院に駆けつける。

 (2)地域包括支援センターへ相談…管轄するセンターを事前確認する。介護保険の申請も受付。

 (3)プロジェクトチームを作る…家族間の役割分担、家族外のチームづくりはケアマネジャー(介護支援専門員)へ依頼。ケアマネジャーとの信頼関係が鍵。

 (4)介護保険制度の利用…制度の事前学習、認定手続の実行、ケアマネジャーとケアプラン作成。

 (5)勤務先への現状報告…休暇や働き方についての相談に向けた現状認識の共有。

 「よいチームづくりと勤務先との共通認識」がポイント。そして、大事なことは「介護は一人でやってはいけない」ということだ。

 ■日本で初めての「50代以上会社員」に特化した、定年後ライフの準備支援機関。定年後の「自走人生」を目指す中高年会社員を応援。中高年会社員向け学習システム『キャリア羅針盤』を開発中。ポータルサイト「定年3・0」(https://www.teinengo-lab.or.jp)

 ■得丸英司(とくまる・えいじ) 「一般社団法人定年後研究所」所長。(株)星和ビジネスリンク取締役専務執行役員。1957年生まれ。日本生命保険で25年にわたり、法人・個人分野のFPコンサルティング部門に従事。日本FP協会常務理事、慶應義塾大学大学院講師などを歴任。日本FP協会特別顧問。

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