102年前のスペイン風邪 8カ月で米から福島へ 野口英世の母が死亡

 世界的な細菌学者、野口英世(1876-1928)の生涯や業績を紹介する「野口英世記念館」(福島県猪苗代町)で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け緊急特別展が開かれている。展示の中で、猪苗代在住だった英世の母、シカが、当時流行したスペイン風邪で死亡していたことが明らかにされている。亡くなったのは世界初の患者が米国で確認されてから、わずか8カ月後だったという。(芹沢伸生)

 「感染症 世界大流行の歴史」と題した緊急特別展では、スペイン風邪をはじめ天然痘やペストなどの感染症と、人類がいかに戦ってきたのかなどを紹介。スペイン風邪は、大正7(1918)年から9(1920)年にかけて世界的に大流行したインフルエンザ。展示では、世界の総人口が18億~20億人とされた時代に5億人が感染、死者は2千万~1億人と推定されることなどを説明している。

 日本の感染状況は内務省衛生局の資料に、大正7年8月~10年7月までの3年間に約2380万人の患者が発生し、39万人弱が死亡したとある。当時の人口は約5500万人で、国民の半数近くが感染したことになる。

 こんな状況の中、英世の母、シカは102年前の大正7年11月10日、スペイン風邪のため現在の猪苗代町で死亡した。65歳だった。当時、英世はノーベル賞候補に挙がるなど有名になっていた。世界的な学者の母親の治療には東京の医師も関わっていたといい、診断に間違いはないとみられる。

 この時に流行したスペイン風邪感染者の初確認は、同じ年の3月11日、米・カンザス州とされている。つまり、米国でウイルス感染が見つかった8カ月後には福島県まで拡大し、英世の母の命を奪ったことになる。

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