「販売価格は相場の2倍程度」絶品の卵を生む「うどん鶏」

 うどんのダシをとった後に出る「ダシガラ」から作った餌でニワトリを育てる取り組みが、広島の農場で行われている。カツオやコンブなどのダシガラを餌に混ぜ込むなどしたもので、それを食べて育ったニワトリを「うどん鶏」と名付けた。うどん鶏が生んだ卵はうまみとコクが増し、栄養価も高いという。食べたらうどんの味がするのだろうか?

 ■捨てられるものを利用

 うどん鶏に取り組んでいるのは、広島県北広島町の農事組合法人「石本農場」。同農場がダシガラから作った餌を開発したのは約15年前のこと。「店側にとってダシガラは産業廃棄物。それを餌として再利用すれ飲食店側も処理に困ることはなく、環境保全にもつながる」と同農場代表理事の石本宏信さん。卵を出荷している先の県内の和食店やうどん店などから、カツオやコンブなどのダシガラを仕入れることにした。

 ニワトリを育てるには動物性タンパク質が必要といい、欧米では骨粉が主流だが、日本では魚粉を与えており、同農場は当初はカツオの身くずだけをエサに混ぜ込んでいた。

 一方、ダシガラを餌に混ぜ込むには課題があった。が、ダシガラに含まれるコンブは水分を多く含んでいるため、機械を通した加工が難しく、捨てるしかなかった。それを解決したのが発酵処理。コンブなどに国産若竹を乳酸発酵させた竹粉などを混ぜ込んでみると、発酵によって発した熱が水分を飛ばし、消臭効果も発揮した。

 餌にはダシガラのほか、トウモロコシやゴマ、米ぬかなど約30種類を配合。こうしてできた餌はニワトリの消化吸収を促進し、うまみとコクが増した栄養価の高い卵が生まれたといい、「卵の味が格段に良くなったという声を多くいただいた」(石本さん)という。

 ■グルタミン酸が高い

 そんな経緯で生まれたうどん鶏の卵。実際に生卵で味わってみた。

 白身が2段になって盛り上がり、黄身も濃厚な色。少し醤(しょう)油(ゆ)を垂らし、食べてみると、ほんのりとダシの香りが口の中で広がった。それもそのはず、同農場によると、卵の成分を分析したところ、コンブのうまみを構成するグルタミン酸が高いとの検査結果が出た。

 卵は黄身が濃厚なだけでなく白身にもコクがあるので、プリンやバウムクーヘンといったお菓子作りにも合うという。

 同農場では純国産系のニワトリ約7万羽を飼育しており、卵は1日約6万個(約3・5トン)産みだされる。年商約3億5千万円という同農場だが、新型コロナウイルスの影響で卵の価格も大幅に下落したといい、石本さんは「もともと卵市場は過当状態にあったのにコロナ禍でさらに厳しくなった。『うどん鶏』というブランドを立ち上げて、他の卵とは一線を画して相場に左右されない展開を考えた」と話す。

 販売価格は相場の2倍程度を目指すというブランド卵。これまで大阪や広島の飲食店や量販店などに出荷していたが、今後は関東や海外への販路を拡大する方針とい、石本さんは「日本の卵は世界トップクラスの品質。なんといっても生卵を食べる文化があるのは日本だけですから」と話していた。

 うどん鶏の卵は量販店などのほか、石本農場の直売所「きいろい庭」(広島市安佐南区)でも販売されている。

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