「命無駄にしない」駆除されたイノシシやシカ 動物園でえさに

 農作物を荒らすなどとして駆除されたシカやイノシシを丸ごと動物に与える「屠体給餌(とたいきゅうじ)」の取り組みが国内の動物園や水族館で広がっている。トラなどの肉食動物の野生の行動を引き出すことによるストレス緩和や、里山などで捕獲された動物の廃棄を減らす“一挙両得”を狙った策。より多くの動物園で実施できるよう、マニュアルの作成も進んでいる。(地主明世)

めざめる本能

 7月27日、京都市動物園のメスのジャガー、ミワが毛皮の付いたままのシカの肉にかぶりついた。水辺に落として沈めるような動作を繰り返したほか、毛皮を剥いだり、骨をかじったりする行動も見られ、5~6キロの肉を1日をかけて食べ切った。

 「ジャガーは本来水辺で獲物をしとめることも多い。本能的な動きかもしれない」と喜んだのは大型ネコ科動物を担当している飼育員の岡部光太さん(33)。同園では平成30年7月にアムールトラに初めて屠体給餌を実施。屠体は感染症などを防止するため、ジビエ加工業者によって頭部や内臓が取り除かれ、低温加熱処理を施された上で動物園に運ばれた。

 「動物にとって顎(あご)を鍛えるなどの運動となり、新しい刺激を受けられる」と岡部さん。普段は小さくカットされた鶏肉などを与えているため、すぐに食べ終わってしまうが、「野生ではえさを探したり捕まえたり、解体したりして1日を過ごすのが当たり前。動物園だからといって暇を持て余すことがないようにしたい」という。

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