新政権、新型コロナにどう対応? 医療資源は重症者に重点 歓楽街対策で波及阻止

 秋から冬にかけて新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行が予想され、発熱などの症状を訴える多数の患者発生と、医療体制の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。菅義偉(すが・よしひで)首相は経済回復に軸足を置くが、未知な点が多い新型コロナへの対応を誤れば、感染は再び拡大し、政権を直撃しかねない。(坂井広志)

 田村憲久厚生労働相は17日の記者会見で同時流行した場合の課題について「かなりのコロナの検査能力がなければならない」と強調した。その上で「ほとんどのクリニックが対応できる地域もあれば、(対応できない地域は)検査センターのようなものを作らなければいけないかもしれない。都道府県、医療機関を含めてきめ細かい対応を早急にしていく」と述べた。

 実際、頭を抱えている医療従事者は少なくない。都内で11日に行われたシンポジウムで、傍聴に来ていた感染症指定医療機関の病院長はこう窮状を訴えた。

 「インフルエンザが流行して、コロナ患者が現場に来ても入り口で区別できない。われわれは戦えるのか。非常に不安だ」

 これに対し、政府のコロナ対策分科会メンバーの釜萢(かまやち)敏・日本医師会常任理事は「発熱外来などを増やしても出動するのは地域の医療従事者だ。拡充するだけではさばき切れない可能性が高い。怖がっている医療機関も多い。感染の危険を減らして検査できるよう全力を尽くす必要がある」と応じるしかなかった。

 そんな状況でも、首相は社会経済活動を引き上げる考えに変わりはない。その象徴が観光支援事業「Go To トラベル」だ。厚生労働省の専門家組織は、新規感染者数についてお盆を挟んでも減少傾向は維持され、重症者は8月下旬以降減少傾向と分析しており、経済との両立を可能とする環境は整いつつある。

 ただ不安材料もある。1人の感染者がうつす平均人数を示す実効再生産数は8月22日時点で愛知、福岡、沖縄が0.7~0.8だったのに対し、東京と大阪は0.9で1に近かった。

 分科会の尾身茂会長は「爆発的感染が起こらなくても病院は早くから逼迫する」としており、政府は感染症法に基づく入院勧告の在り方を見直す方針だ。

 現在、無症状者や軽症者に対しても入院勧告を行うことができる。これらの感染者に関し政府は宿泊療養を促しているが、現場では入院させているケースも多い。今後は医療資源の重症者への集中を徹底させる。

 分科会では6月下旬以降の感染拡大は大都市の歓楽街に潜んでいたウイルスが顕在化し、地方や家庭、職場、病院、高齢者施設に波及したとみている。政府は歓楽街対策として早期介入による大規模なPCR検査実施などを検討している。

 ワクチンについては、来年前半までの全国民への数量確保を目指しているが、副反応や有効性など不明な点は多い。厚労省幹部は「期待が先行しすぎている」と危惧する。国民とのリスクコミュニケーションも政府の重要な責務だ。

(坂井広志)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ