「自助・共助・公助」どこに該当…新首相に複雑な思い交錯

 自民党の菅(すが)義偉(よしひで)総裁が16日、首相に就任した。7年9カ月ぶりに誕生した新内閣の閣僚には安倍晋三前首相を支えた面々が並び、「新鮮味に欠ける」との見方もあるが、新型コロナウイルスへの対応や景気対策をはじめ、課題は山積している。「生活を守って」「暮らしやすい国に」。人々は期待を口にした。

■コロナ対応

 町工場が多く集まる東京都大田区でダイヤモンド工具を製造する「インターナショナルダイヤモンド」社長、江口国康さん(53)は「大手企業は仕事が戻ってきているといわれるが、末端には戻っていない」。新型コロナ感染防止のため社員約40人を3分割して間引き操業しているといい「金融機関を通じての融資などは非常に助かった。引き続き、これまでのコロナ関連の経済政策を踏襲し、取り組んでほしい」と述べた。

 都が酒類を提供する23区内の飲食店やカラオケ店に要請していた営業時間短縮は16日に解除された。だがコロナ禍で苦しむ飲食店関係者からは、切実な声が漏れる。

 新宿・歌舞伎町でラウンジを経営する男性(72)は「店は毎月100万円以上の赤字続き。菅首相は『自助・共助・公助』というが、われわれはどこに該当するのか」と話し、「これ以上、自助を強制されたら立ちゆかない」として、支援の充実を求めた。

 港区新橋の居酒屋店長、寒河江(さがえ)純さん(46)も「売り上げは8割減り、給付金は申請したが、固定費が大きく足りない」と追加支援の必要性を訴える。延期された東京五輪については「景気、インバウンドのためにも開催してほしい」と要望した。

■子育て対策

 菅首相は自民党総裁選の期間中、少子化対策として不妊治療への保険適用に意欲を見せていた。当事者からは「具体的な議論を進めて」と切実な声が上がる。

 約2年半前から総額約300万円をかけて体外受精などを行っている都内の女性会社員(37)は「経済的な理由で諦めていた若者もチャレンジできるようになる」と歓迎。治療は痛みを伴うこともあるといい「お金の問題をクリアしても、体や心の痛みは変わらない。短期間で治療を終えられるよう環境整備にも力を入れてほしい」と話す。

 不妊治療の当事者団体「Fine」の松本亜樹子理事長は「不妊治療には経済的、身体的、精神的、時間的な負担があり、全てが絡み合って患者に重くのしかかる。そうした負担があることを知っていただくきっかけになる」と期待する。

 「まずは現状をしっかりと把握し、制度設計を熟考してほしい」と要望した上で「出産はゴールではなくスタート。不妊治療だけでなく子供を産み育てやすい社会づくりにも取り組んでいくべきだ」と強調した。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ