台湾の李登輝元総統が死去 アイデンティティーを「他国への対抗」でなく「自分たちの足元」に求めた

 【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】

 この原稿を執筆しようと思案していた7月30日夜、台湾の李登輝元総統が逝去されました。享年97。翌日の新聞各紙は、生前の姿を映した写真や評伝に多くの紙幅を割いていました。22歳まで日本人だった、京都大学出身、何度も来日、日本にも知己が多いなど、わが国との広く、深い縁を紹介していました。

 李氏は、台湾の教育改革に力を注いだことでも知られています。中国大陸の視点で見る台湾の歴史や地理は教えず、日本の台湾統治を一律に否定していたものを改め、1996年に新たな中学の教科書「認識台湾」をつくりました。この中では、戦前に普及した教育制度やインフラ建設など、日本の功績も認める客観的な記述を取り入れ再評価しました。

 同じ日本統治時代を経験した韓国の歴史教育と対比されますが、何よりも、台湾の人々がよって立つアイデンティティーを、他国への対抗ではなく自分たちの足元に求めたことが重要です。客観的に自国も他国も見て、自然体で判断することが浸透しているように思います。それゆえ、老若男女問わず、互いに友好的な日台関係を生んでいるのではないでしょうか?

 その意味で、対照的なのが中国です。

 李氏が総統だった時代に、中国を国家主席として率いていたのが江沢民氏です。彼が始めたとされる「愛国教育」が、日本に厳しく当たる今の中国大衆を生み出したとも言われます。

 もちろん、その側面もありますが、実は1949年の建国宣言でも、「これでわが国は他から侮られなくなった」と、建国がアヘン戦争(1840年)以来のあだを討つ第一歩であったことが示唆されています。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ