最年少タイトル保持者誕生! なぜこんなに勝てるのか…神話となった「藤井に悪手なし」

 【勝負師たちの系譜】

 先週、藤井聡太新棋聖誕生を速報的に取り上げたが、今回は特に奪取の一局をジックリ振り返ってみたい。

 「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)で藤井が2勝してからというもの、マスコミの報道は連日で、コロナ禍に大雨被害という暗いニュースばかりの中、久々に明るい話題を振りまいてくれた。

 第3局で、渡辺明棋聖(当時)は藤井相手に初勝利を挙げ、藤井との距離感を掴んだかに見えた。

 第4局の戦型は矢倉戦。渡辺が先手番で誘ったのだが、藤井が第2局と同じ戦いに応じたことが最初の驚きだった。

 渡辺が散々研究してきたはずの戦いに、平然と応じるあたり、藤井の図太さを感じるのだ。

 ただ、渡辺も用意してきただけあって、将棋はやや渡辺ペースで終盤の入り口を迎えた。

 この将棋、他のプロは藤井の終盤での妙手を称える人が多かったが、私は渡辺が勝負を急いで敗れたと思ってみていた。

 少し優勢な終盤で、受けずに攻めて勝とうか、まず玉の安全を図ってから攻めるべきかは、常に迷うもの。渡辺は直線で攻め合ったのだが、藤井の妙手を呼び込んだのと、封鎖される手段に何か勘違いがあったのか、両側から封鎖され、逃げ道がない形で捕まってしまった。

 大勝負を重ねてきた渡辺が、焦って判断を誤ったとは思えないが、それでも藤井相手では早く勝ちを決めたいという心境が働いたなら、もはや藤井の相手に対するプレッシャーは、トップクラスと言える。

 藤井がなぜこんなに勝てるのかを考えてみると、まず藤井の指し手に悪手はないという神話的なものを他のプロが持っていることが挙げられる。

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