藤井新棋聖 才能見抜いた名伯楽「将来タイトル取る」 一門の悲願達成

【藤井時代 最年少棋聖】

 「地元の多くの方に温かく見守っていただき、ここまでこれた。いい報告ができるのかなと思います」

 16日の第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第4局を制し、初タイトルの棋聖を獲得した藤井聡太。地元・愛知にタイトルを持ち帰るという目標を成し遂げた思いを語った。

 「東海地区にタイトルを」。藤井の師匠で八段、杉本昌隆(51)のさらに師匠にあたる九段、板谷進(故人)の悲願だ。杉本は昭和55年、11歳で板谷に弟子入りしたが、63年、板谷が47歳で急逝。プロになった姿を見せられず、杉本には「恩返しできなかった」との悔いがある。

 杉本は、板谷の写真を自宅などで飾り、自らを奮い立たせてきた。21歳でプロ入りしたが、タイトル挑戦は今も道半ば。その後、弟子になった藤井は、板谷の悲願をかなえることが「自分の夢」と表明してきた。

 ついにその日がきた。

 杉本はかみしめる。「藤井がタイトルを取ることは必然だった。しかし実現したと思うと感慨深い」

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 杉本は、藤井との出会いを思い出した。

 「ここに歩を打たないとこちらに勝ちはないから」。平成21年、奨励会を目指す子供を育成する名古屋市の「東海研修会」。対局後の感想戦で、子供らしからぬ口調で主張している男の子がいるのをみて杉本は驚いた。先を見るセンスの良さも持っていた、小学1年生の藤井だった。

 その後も藤井の対局を見続けているうち、いつしか藤井の将棋に魅了された。「見えているものが違う。将来タイトルをとる棋士になるだろう」と確信した。「どこの門下に行くのかな」と気になっていた。

 母に付き添われた小学4年生の藤井と名古屋市内の喫茶店で会った。「よろしくお願いします」。弟子入りの申し込みだった。「やっときたか」という思いと「類まれなる才能を自分は育てられるか」という思いが交錯した。

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