新型コロナ、九州豪雨、中国・三峡ダム決壊危機…「ブラック・スワン」対処できるか

 【「予測不能」の時代】

 新型コロナウイルスをめぐる混乱を見ていると、世界が「予測不能の時代」に入った感がある。あり得ないほどではないにせよ、こういう対策を取っておくべきだったという声も出ないほど、想定外の連続だ。

 九州などでの水害も、あれだけの豪雨が局地的に降ることは想定していなかった。「ダムを建設しておけば」というのも怪しい話で、少し被害が減ったかもしれない程度に過ぎない。

 中国では「三峡ダム」決壊の可能性と絡めて、次官クラスが「想定以上の洪水が発生すれば、防御能力を超えた『ブラック・スワン』(=めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象のこと)の可能性もあり得る」と発言して世界を驚かした。

 三峡ダムは、長江が四川省の盆地から湖北省の平野に出る渓谷に、ソ連へ留学した電力技術者だった李鵬首相の指導で建設された世界最大級の水力発電ダムで、水利や運輸、防災にも絶大な効果を発揮している。ただ、巨大すぎて地震を誘発しているという人もいる。

 中国南西部などで記録的豪雨が続き、いまやダムの能力を超えた水が流れ込んでいるので、そのまま放水している。上流の重慶と下流の武漢と両方が大洪水になっているし、限度を超えるとダムが崩壊することもあり得ないわけでない。

 「ブラック・スワン」とは、エコノミストのナシーム・ニコラス・タレブ氏が著書で、黒い白鳥が発見されたことで生物学の常識が変わったことにちなんで命名した。英国のEU(欧州連合)離脱や、ドナルド・トランプ米大統領の当選、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)などを指す。

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