「畳堤」PR 兵庫・たつの市の揖保川堤防にパネル

 兵庫県たつの市の揖保川に、畳を差し込んで越水を防ぐ特殊な堤防「畳堤(たたみてい)」が整備されていることをPRする畳パネルが設置された。国土交通省では「珍しい畳堤の存在を訪れた観光客に知ってもらい、地域住民の防災意識向上にもつながれば」と期待している。

 畳堤は、堤防に欄干のような枠を設け、河川の増水時に住民らが持ち寄った畳を枠に差し込んで越水を防ぐ仕組み。堤防の壁面がないため、普段は眺望が保たれるという利点がある。

 揖保川では昭和20年代に氾濫が相次いだため、20~30年代に3地区で約3キロの畳堤が設置された。ただ、実際にはほとんど活用されなかったという。全国で現存する畳堤は他に2河川のみ。

 揖保川を管理する同省姫路河川国道事務所では、こうした畳堤の歴史と文化を目に見える形で継承しようと、PR用の畳パネル10枚を龍野観光駐車場前の畳堤に設置した。畳パネルはポリウレタン樹脂で畳の表面を再現し、風雨に耐えるよう作られている。磯部良太所長は「毎年のように各地で大雨が降っており、水防意識を高めるためにも畳堤の存在は重要」と話す。

 ただ近年では、畳を使用している住宅が減り、サイズも小さくなって住民の持ち寄りは現実的ではなくなった。このため現在は市が畳を備蓄し、自治会などが管理する。

 「畳堤は実際の治水機能より、意識付けの意味合いが大きい」との指摘もあったが、平成30年7月の豪雨で、同市揖保川町正條地区で初めて畳が“実戦配備”され、住民らが降りしきる雨の中、備蓄畳を約100枚差し込んだ。

 円尾和也・正條自治会長は「川の水位は畳をぬらす寸前まで上昇した。越水こそなかったが、住民らの不安解消につながった。さらに訓練を続けていきたい」と話している。

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