西日本豪雨2年 SNSで被災者つなぎ居場所づくりを

 平成30年7月の西日本豪雨で被災した女性が、オンラインやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を駆使して防災や地域づくりの取り組みを進めている。岡山県倉敷市真備(まび)町川辺地区の住民グループ「川辺復興プロジェクトあるく」代表、槙原聡美さん(40)。被災して感じたのはコミュニティーの喪失と情報の重要性といい、「みんなをつなぎ、居場所をつくりたい」と活動を続ける。(織田淳嗣)

 「私は帰りたいけど、どうせみんな帰ってこんのじゃろ」。豪雨直後、被災した自宅の片づけに戻った槙原さんは、知人のこんな嘆きを聞いた。

 槙原さんの住む川辺地区は約1700世帯の大半が全壊。槙原さん一家は無事だったが、同県総社市の実家での避難生活を余儀なくされた。「みんな本当は川辺に帰りたいのに、帰れない。集まれる場所すらない」。コミュニティー喪失の危機を感じた。

 そんな中で槙原さんが着目したのがSNSだった。

 被災直後、無料通話アプリ「LINE(ライン)」で大勢の人が同時に文字で会話ができるグループ機能を使い、「ママ友」らとともに「川辺地区みんなの会」をつくった。川辺地区の人であれば誰でも参加でき、簡易トイレの設置場所や罹災証明書の発行、支援物資が受け取れる場所といった生活情報を共有した。被災者らをつなぐとともに、「被災地では何より情報が不足している」との思いがあったためで、約20人で始まったグループは、約550人にまで膨らんだ。

 被災者へ情報を届ける仕組みを作った次は、外部への発信。川辺地区は小学校や公民館なども浸水したため地区内に避難所が設営できず、衛生面の問題から行政による炊き出しも当初は行われなかった。このため、槙原さんは交流サイト「フェイスブック」で「川辺地区こそ炊き出しが必要」と訴え、同地区でも炊き出しが始まるようになったという。

 「川辺復興プロジェクトあるく」を立ち上げたのは同年10月中旬。市立川辺小学校近くのプレハブ小屋を拠点に、子供たち向けの工作教室を開いたり、高齢者にスマホの使い方を指導して生活・行政情報を得られるようにしたりと、幅広い取り組みを実施。「被災者同士が手作業をしながら会話して、悩みが軽くなったらいいなと。居場所づくりですね」と槙原さん。

 今年5月には、新型コロナウイルスの感染拡大があり、オンラインで防災訓練を実施した。槙原さんら約10人が地区内を歩き、災害時に危険な場所をスマートフォンで動画撮影しながらLINEで生配信。用水路については、冠水すると道路との境目が分からなくなる危険があることを伝え、「日ごろの散歩の中で確認を」などと呼びかけた。配信は約120人が視聴したという。

 槙原さんは「防災は、誰もが知りたいことを簡単に知ることができるのが大切。避難を簡単に、気軽にできるものにしなければ」と話している。

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