「高齢者てんかん」を発見するビデオ脳波モニタリング 発作中はけいれん伴わず認知症と間違えやすい

 【ここまで進んだ最新治療】

 あまり知られていないために、病気であることに気づかないまま、適切な治療を受けずにいる人が多いのが「高齢者てんかん」だ。「てんかん」というと、「子供のときに発症する病気」「けいれん発作を起こす」といったイメージが強い。しかし、主に65歳以降に脳の老化で発症する高齢者てんかんは、けいれんを伴わない目立たない発作が特徴。そのため周囲の人も気づきにくいのだ。

 東京女子医科大学東医療センター・脳神経外科(てんかん外来)の久保田有一講師が説明する。

 「高齢者てんかんの発作は、突然意識を無くし動作が止まります。同時に多くの場合、口をもぐもぐさせたり、体をゆするなどの無意味な動作を繰り返す『自動症』が見られます。そして1~2分たつと何事もなかったように戻ります。しかし、本人は発作中の記憶はなく、周囲と話がかみ合わないなどから認知症と間違われやすいのです」

 “何かおかしい”と家族に連れられ病院を受診しても、認知症との鑑別は難しい。高齢者てんかんは一種の脳の老化現象なので、MRIなどの検査をしても脳に異常は見つからない。それに家族から聞き取った症状が認知症初期の「まだらボケ」に似ているため、認知症と診断されてしまうことが多いという。

 また、てんかんを疑った場合では、通常では脳波検査が行われる。しかし、脳波に異常が表れるのは発作が起きている間だけなので、外来で高齢者てんかんが見つかる確率は40~50%と低い。

 そこで高齢者てんかんの見逃しを少しでも減らそうと、久保田講師が積極的に行っているのが「長時間ビデオ脳波モニタリング検査」だ。

 「この検査は、患者さんの頭に装着した電極をデジタル脳波計とビデオに接続し、1週間病院内で生活してもらいます。個室入院で睡眠中も含め、発作時のようすをビデオで撮影しながら脳波の異常を調べるのです。それによって発作が脳のどこの部分で発生しているかも詳しく分かります」

 ただし、このような設備が整った医療機関は多くないので、どこでも受けられる検査ではない。また、高齢者てんかんの治療は、他のてんかんと同じように「抗てんかん薬」が使われるが、高齢者に合わせた薬の選択には専門性が必要になるという。

 「発作が火を使っている調理中に起こればヤケドや火事の原因になりますし、自動車の運転中や入浴中に起これば命にも関わります。発作は適切な薬を服用することで、9割の人は確実に抑えることができます」

 高齢者に認知症の疑いが見られたら、同時に高齢者てんかんの発症も疑うようにしよう。(新井貴)

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