局面変わり、急がれる検査強化 無症状者は依然不安材料 新型コロナ

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の全面解除を決めたことで、感染予防と経済活動の両立に本格的に動き出す。カギを握るのは感染の有無を調べる検査体制の強化だ。感染者を素早く見つけ出し隔離することで、経済活動への影響をできる限り回避したい考えだ。感染第2波に備える意味からも、収束局面に変わった今のうちに体制整備が急がれる。

 「第2波は起こると思ったほうがよい。流行を小さく抑えられるかどうかが大事だ。緊急事態宣言をまた発出することはやりたくない。しっかりと(感染を)探知して抑え込む」

 西村康稔経済再生担当相は25日の参院決算委員会でこう語った。

 検査の徹底を求める声は経済界を中心に高まっている。20日の参院予算委員会の参考人質疑で経済財政諮問会議の民間議員を務める慶応大の竹森俊平教授は「PCR検査を(感染が)ありそうなところにつぎ込み(感染者を)、ピックアップして隔離すれば、全体のアクティビティ(活動)を下げる必要性は下がってくる」と答えている。

 竹森氏や中西宏明経団連会長ら民間議員は15日の経済財政諮問会議で同様の趣旨の提言をしている。検査と隔離を徹底させることで経済活動に極力影響が及ばないようにすれば、一斉に活動を自粛する措置はとらずに済むという考え方だ。

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 政府は当初、28日に解除の最終判断を行う段取りを考えていたが、25日に前倒しした。

 大型連休が明けて人出が増えた11日以降の感染結果が表れるのは、潜伏期間を考えると2週間後の25日以降とされる。この結果を待って、感染者が増加していれば、解除のタイミングを逸しかねない-。前倒しにはそんな思惑が透けてみえる。早期に経済活動を軌道に乗せたいとの強い思いの裏返しともいえる。

 政府は抗原検査や全自動PCR検査機器、唾液によるPCR検査、ドライブスルー方式などをフル動員する方針だ。

 新型コロナウイルスの特徴である無症状の感染者が存在する以上、いつ、どこでクラスター(感染者集団)が発生するかは予断を許さない。無症状者の感染力についてはいまだ明確なことは分かっておらず、流行を先読みする際の不安材料となっている現実に変わりはない。

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 国内初の感染確認を厚生労働省が発表したのは1月16日。その後、感染は拡大し、4月10日頃に新規感染者数は700人近くに上り、ピークを迎えた。この時期がいわば「蔓延(まんえん)期」だ。感染は今後、どのような推移をたどるのか。

 「(感染の)報告者数ゼロが短期間続いても、見えない感染が続いていると考えるべきだ。冬の到来を待たず再び感染の拡大が起こることは十分予測される」

 20日の衆院予算委で専門家会議副座長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長が語ったこの言葉は、新型コロナウイルスの本性を正確に言い表している。

(坂井広志)

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