ネットを使わない人へのコロナ情報 自治体は苦心

 ■見直されるラジオの役割

 「使用済みのマスクなどのゴミを捨てた後は、しっかり手を洗うことに注意ましょう。以上、泉大津市役所からのお願いでした」

 泉大津市は毎週平日午前7時半から15分間、コミュニティーラジオ「FMいずみおおつ」の番組内で、市の情報を発信している。今は新型コロナに関する市の支援策や感染対策などが中心だ。朝の慌ただしい時間だが、ふと耳から入る情報に市民からは「家事をしながら聴けるのでありがたい」などと好評だ。

 門真市も出資する「FM HANAKO」を活用する。枚方市でも「FMひらかた」が市のホームページをチェックして毎日、感染者数や新たなニュースを放送している。インターネットの普及などで、存在感の低下が指摘されているFM放送だが、東日本大震災の発生時に、各地域に密着した放送局が避難所の情報などをきめ細やかに放送したことで、災害時の情報源として役割が見直されていた。各自治体は今回の感染拡大でも情報伝達の有効な手段として頼りにする。

 一方、地域活動のお知らせなどを台紙に挟んで地域の間で伝える回覧板は、今回、その使用をめぐって判断が分かれている。

 3月、河内長野市は新型コロナ関連のお知らせを回覧板を通して発信した。しかし、手渡しによる感染リスクを考慮して、4月の緊急事態宣言の発令以降、回覧板を使っての情報伝達を取りやめた。松原市も緊急事態宣言発令以降、回覧板を通した市からの情報発信は控えている。担当者は「多くの人が手に触れるため、感染拡大リスクを考慮し、市からの回覧板を使った広報は止めている。情報周知は防災行政無線、公用車によるアナウンスを使っている」と話す。

 地域によっては郵便受けに入れるなど直接の手渡しを避けながら、回覧板を活用する自治体もある。門真市も各自治会に回覧板の活用を依頼。藤井寺市も、現時点で回覧板を使った情報発信の自粛をしてない。

 新型コロナの感染拡大で改めて自治体の情報伝達のあり方の難しさが顕在化した。近畿大の東郷寛准教授(地域経営論)は「インターネットに接することが難しい人たちもいる。自治体が情報を伝える際には、ネット以外でも情報が届く態勢をつくることが必要だ」と指摘する。災害発生時にも同様の課題は現れる。東郷准教授は「インターネットになじみがない人たちに無理にネットを使わせるのではなく、情報が伝達されるような地元のネットワーク、インフラ作成の支援を自治体が行うべきだ」と主張している。

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