外出自粛のなか…高齢者の認知症予防に「どこでもデイケア」 Youtubeライブで患者さんへお届け

 新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、高齢者や要介護者の多くはデイケア(通所リハビリテーション)に通えない状態が続いている。そこで認知症治療の第一人者で夕刊フジ健康面連載でもおなじみのメモリークリニックお茶の水理事長、朝田隆氏(筑波大学名誉教授)が、軽度認知障害(MCI)のデイケア利用者を対象に「どこでもデイケア」のサービスを10日から開始した。インターネットを介して自宅で遠隔トレーニングが受けられる仕組みだ。

 軽度認知障害は認知症の手前の段階で、物忘れなどの症状が出る。放置すれば認知症へと移行するため、朝田氏は5年ほど前からデイケアで実践できる各種のプログラムを開発し、メモリークリニックお茶の水(東京都文京区)の通院者に提供してきた。そのプログラムは本紙月曜日連載の「軽度認知障害 回復奮闘記」でも紹介しているが、なにより大事なのは「続けること」だという。

 「外出自粛で1カ月間なにもしなければ、患者さんの認知度はガクンと落ちます。先月来、患者さんのご家族からのご相談も急増しています。この状況をなんとかしたいと思い、『どこでもデイケア』のサービスを始めることにしたのです」(朝田氏)

 同クリニックのプログラムは、運動や脳トレだけでなく、音楽(歌・演奏)や芸術(デッサンなど)も含めた多彩な組み合わせになっている。そのエッセンスをYouTubeライブで患者に届けるのが今回の「どこでもデイケア」だ。

 月曜から土曜日まで日替わりの内容で、たとえば月曜日の「音楽」は3人の声楽家が3つの唱歌をそれぞれ同時に歌い、何の歌かを当てる。1曲はなんとか聞き取れても、他の2曲を判別するのは軽度認知症の人でなくても難しい。

 指導スタッフがライブの生中継で、目の前にいるかのごとく進行するのも特徴だ。

 「一方的に映像を流すのではなく、患者さんの成果を汲み取る双方向性のプログラムを意識しています。患者さんは、外出自粛でご家族以外とお話をする機会も失われている方が多い。スタッフとの双方向のコミュニケーションも大切なのです」と朝田氏。

 身体と脳を同時に活性化するトレーニング「アップテン エクササイズ」では、100から3を次々に引きながら指示された動作を行うものもある。引き算しながら手足を動かすのは、かなり大変だ。筋トレのプログラムもあり、足腰を鍛えることもできる。

 「外出自粛が長く続くことから、フレイル(虚弱)の予防も考えたプログラムです。1つの項目は1分程度で終わり、全部で約30分間。患者さんもご家族にも取り組んでいただき、心身の健康を維持してもらいたいと思います」

 今のところ、「どこでもデイケア」が受けられるのは同クリニックの利用者に限られているが、朝田氏はこれまでの研究と実践で何千種類ものプログラムを保有しており、その中には夕刊フジと共同開発した予防プログラムもある。「将来的にはそれらを誰でも自宅で利用できるサービスとして展開していきたい」という。

 軽度認知障害と認知症の人を合わせると、65歳以上の4人に1人の割合といわれている。外出自粛で社会的なつながりが途切れれば、この割合が増えることも懸念されるだけに、こうしたサービスは今後さらにニーズが高まりそうだ。

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