認知症に効くクスリはまだない マウスなどの動物モデルでの再現が困難

 【続「心の老い」は克服できるか】

 ここ数年、抗認知症薬の効果が疑われている。認知症に効くクスリができればノーベル賞ものと言われるが、可能性はあるのだろうか? 医師でジャーナリストの富家孝氏が、精神科医の吉竹弘行氏に聞く。

 --日本は諸外国に比べ抗認知症薬の処方が多いといいます。使ってみてどうでしょうか?

 「正直、私もよくわかりません。クスリによって進行が止められるのか、記憶障害、見当識障害が改善されるのか、と聞かれると、限定的と言わざるをえません」

 --種類は?

 「保険が適応され、使用可能な抗認知症薬は4種あります。このうち、ガランタミン(商品名レミニール)、リバスチグミン(同イクセロン)、メマンチン(同エビクサ)の3種はアルツハイマー型のみの適応。もう1種のドネペジル(商品名アリセプト)はアルツハイマー型に加えてレビー小体型にも適応があります。添付文書には、『認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない』と記され、『効果が認められない場合は漫然と投与しないこと』とも。慎重に処方します」

 --副作用もある

 「嘔吐、下痢、めまい、不整脈、せん妄など引き起こすことがあります。副作用を認めた場合には即座に中止です」

 --私も70歳を超えましたが、つくづく高齢者はクスリを飲み過ぎる。多い人は、降圧剤、血糖降下剤など10種類以上も

 「調査によると、高齢者はクスリが6種類以上になると副作用を起こす人が多い。持病がある方には抗認知症薬はあまり出しません。薬外治療が中心になります。日本はクスリを出し過ぎです」

 --フランスでは、クスリをやめましたね

 「抗認知症薬の効果は短期的で、例えば寿命を延ばす、QOL(生活の質)を改善する、といった長期の効果はないと判断したわけです。現在、認知症の方は最終的に介護施設に入りますが、クスリによってその時期を遅らせることはできないとわかったのです。フランスの新しい治療指針では、薬物療法に代わり、介護者を中心とした包括的なケアを勧めています。日本でも85歳以上の患者には効果がないという調査研究があります」

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