大阪IR 応募1社に不安な船出 交渉面で不利との懸念

 全国の自治体に先駆け、人工島、夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)へのIR誘致を目指してきた大阪府市だが、公募に応じた事業者は1社にとどまり、不安要素を含む船出となった。唯一のパートナー候補として主導権を事業者側に握られかねない懸念や、「できレース」との指摘を受ける恐れもある。吉村洋文府知事は14日、「選定委員会がきちんと評価していく」と主張。MGM・オリックス連合ありきではなく、厳正な審査を行う考えを強調した。

 誘致レースの「トップランナー」を自負し、先手必勝を掲げる府市だが、横浜市が昨年8月に誘致を発表すると状況は一変。7事業者が参加表明していた府市のコンセプト募集は、最終的に3事業者のみとなった。

 「大阪愛を貫いたMGMの横綱相撲だった」。吉村氏がこう指摘するように、ある市幹部は「MGM側が国内の主要企業を囲い込み、別の事業者が参入できる余地はほぼなかった」と話す。

 事業者流出の危機にさらされる中、府市は開業時期をめぐり事業者側に配慮をみせてきた。これまで、同じ夢洲で開催される2025年大阪・関西万博とIRの同時開業を絶対条件として掲げてきたが、工期重複など不確定要素が多いことを考慮し、昨年11月のIR実施方針案では「努力目標」にトーンダウン。同12月に公表した公募の募集要項では、万博後の令和9年3月末までと幅を持たせた。

 「かなり事業者に譲歩してきた。複数来てほしかった」。市幹部は残念がる。

 今後MGM側との交渉は正念場だ。競合相手がいれば、事業者側が府市にとって有利な条件やサービスを上乗せすることも考えられるが「今後はライバル社がいないため、こちらがプラスアルファの提案を引き出す必要がある」と府市IR担当者。

 一方、大阪市の松井一郎市長は、応募締め切りを前にした13日の記者会見で「仮に足元を見てくるようなことになれば、関係を見直すのは当然だ」と断言。公募の条件を満たさなければ、再公募に踏み切る可能性もにおわせている。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ