フリマアプリに気をつけて 要冷蔵品を常温配送、消費者庁が注意を呼びかけ

 インターネットを通じて個人同士で物品を売買するフリーマーケットアプリ(フリマアプリ)で、要冷蔵食品なのに常温で配送するケースがあり、食中毒の危険があるとして消費者庁が注意を呼びかけている。個人間取引ではこれまでも刑事事件やトラブルになるケースが問題となってきたが、取引の増加が予想されるお歳暮シーズンを前に、被害を食い止めたい考えだ。(小林佳恵)

 11月中旬、大手フリマアプリを検索すると、ハムやソーセージといった加工肉のギフトセットがずらりと並んだ。常温配送するという出品者が散見され、寒い時期だからという理由や、保冷剤を入れるといった“対策”の書き込みも見られた。

 消費者庁によると、要冷蔵食品を保存方法と異なる温度で販売したり、配送したりした場合、細菌が増殖して食中毒の原因になることがある。例えば要冷蔵の真空パック詰めされたハムやソーセージの場合、常温で放置するとボツリヌス菌が増殖する恐れがあり、食中毒を起こすと、呼吸困難などの症状が出て死亡することもある。保冷剤を入れても常温配送は危険だ。

 しかし、消費者庁が9月に調査したところ、複数のフリマアプリで加工肉のほか、乳製品や魚介類加工品を常温発送とする事例を数十件確認。これまでに健康被害に関する相談はないというが、消費者庁の担当者は「個人同士のやり取りな上、多くは家庭内で消費されるとみられる。被害が顕在化しにくいのではないか」と懸念を口にする。

 なぜ出品する側は、常温配送してしまうのか。

 消費者庁の担当者は、売る側に食中毒の危険性に関する知識が欠けていることや、クール便では金額が高くなることなどを挙げる。ただ、個人間の取引であっても食品表示法違反となったり、健康被害があれば損害賠償を求められたりして、法的責任を問われる可能性がある。

 消費者庁はフリマアプリを運営する大手3社に、利用者に対して注意喚起するよう協力を要請し、各社とも対応しているという。消費者庁の伊藤明子長官は「売る側は安全性に対する正しい知識を身につけてほしい」と話している。

急拡大の個人間取引、トラブルも多発

 フリマアプリや民泊などインターネットを通じた個人間取引の市場は急拡大している。一方でトラブルや刑事事件になるケースも多発している。

 要冷蔵商品を常温配送して食中毒が起こった場合などには、送り主が法律上の責任を問われる可能性があるというが、一般的なトラブルについて、国民生活センターの担当者は「利用規約上、トラブル解決はあくまでも当事者間で」と指摘する。

 経済産業省によると、「メルカリ」など個人間で物品を売買するフリマアプリの平成30年の推定市場規模は約6392億円。28年から2倍以上に増えた。国民生活センターによると、フリマアプリに関わる相談件数も24年度以降、増加傾向にある。

 フリマアプリでは、偽ブランド品や盗難品の出品が相次ぎ、29年には関東地方などの高校で大量の野球道具が盗まれ、メルカリに出品される事件が発生。一般住宅の空き部屋を有料で宿泊先として貸す民泊では、騒音やごみ出しをめぐるトラブルも起きている。

 国民生活センターの担当者は「サービスを提供する会社も介入できない場合があり、トラブルを未然に防ぐ手段を当事者間で考えるしかない」と話している。

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