「ゾウはいません」消える人気動物、迫られる動物園改革

 全国の公立動物園で、ゾウやトラなど人気動物が姿を消しつつある。動物保護を目的とする条約の厳しい規制や購入費の高騰により、高齢で死亡しても次の個体を調達できないケースが多いからだ。専門家は「動物園が“過渡期”にきている」と指摘する。経営主体のほとんどは自治体で、限られた予算やエリアの中、人気動物に頼らない改革に迫られている。

 「天王寺動物園にゾウはいません」

 大阪市立天王寺動物園(同市天王寺区)のゾウ舎の入り口にはこんな張り紙が貼られている。昨年、アジアゾウの「ラニー博子」(雌、推定48歳)が高齢と病気のため死んでから、代わりのゾウはやって来ず、展示スペースは静まり返っている。

 ゾウだけではない。9月には、アムールトラの「虎二郎」(雄、7歳)が死に、10月には唯一いたコアラの「アーク」(同、12歳)も繁殖のため英国へ旅立った。

 同園は、アジアゾウとトラは新たな個体を迎えるべく国内外の動物園と交渉中だが、時期のめどは立っていない。コアラについてはアークを最後に飼育をやめる決断をした。

 日本動物園水族館協会(東京)の岡田尚憲事務局長は「全国の動物園でゾウやキリン、ゴリラといった人気動物が手に入りにくくなっている現状はある」と話す。

 背景にあるのは規制や購入費といった高いハードルだ。アジアゾウは、希少動物保護を目的とするワシントン条約により、学術目的以外での商業取引が禁止されている。また、動物商の白輪剛史さんによると、一部の国による買い占めや種の減少で、アジアゾウを購入するには1頭約4千万~5千万円、アムールトラは1千万円ほどかかるという。

 こうした中、各動物園では、飼育する動物の選別も進んでいるという。

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